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第十五章 あまりに長くてCになっちゃう…

閑話 恋愛(ユリ)の神様からの、バチ

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ここはサーチ達がいる世界とは違う世界。
また、サーチが以前にいた世界とも違う世界。
仮にこの世界のことは「神界」と呼びましょう。
その神界にて、1人の超絶美少女…つまり私…が叫んでいた。

「な、何よ何よ何よ!なんであのメドゥーサの娘の好意を無下にするの!?」

私はずーっと、メドゥーサの美少女と…あの忌まわしい半裸女との恋愛ユリの進展を見守っていた…のだが。

「あれだけ露骨な好意を寄せられておきながら、何の反応もしないだなんて…!メドゥーサの美少女の精一杯の勇気も無駄にして『酔っ払い』扱いするなんて!許せん許せん許せないい!!」

「…おい、さっきなら何を騒いでいるんだ?」

ヒートアップする私に、同じようで違う恋愛やおいの神様が話しかけてきた。

「うっさいわね!今の私はめちゃくちゃ忙しいの!」

「…まーた地上のカップル観察に熱上げてんだろ?暇だなあ…」

「あんたも似たようなもんでしょうが!大体こんな閑職、私情を挟みまくらないとやってらんないわよ!」

「…神の自覚0だな…。オレは真面目に仕事してるぞ?」

「なら私のも仕事よ。邪魔しないでちょうだい」

恋愛やおいの神は「仕事じゃなくて私事だろ…」とか呟きながら、私から離れていった。

「…ふん。私の勝手よ。放っといてちょうだい」

…そして、再び観察に戻る。

「…それにしても…私好みの美少女だらけ。なんて優良なパーティなのかしら…」

私よりも平たい・・・娘を見て勝ち誇っていると。

「ん?んんん?何よあの巨乳娘ホルスタイン!?私の理想のカップリングに、割って入るつもりなの!?」

これまた美が3つくらい付いちゃうくらいの美少女が…いや巨乳娘ホルスタインが、我が愛しのメドゥーサの美少女に敵対しようとしてるのだ。
どうやらあの半裸女に気があるらしい…。

「…これは見過ごせないわ。私の理想のカップリングを邪魔する者は、例え美少女であっても許すまじ」

…天罰で始末してあげましょう…。
私が巨乳娘ホルスタインの命を刈り取ろうとした時。

『みょーーーーんんん!!』

…ぶふっ!

「あっはははははははははは!!何あれ!?何であんなに伸びるの?…ぶっ!ふふふ…ひゃはははははははは!!」

お、お腹痛い…!


…一頻り笑い続けて、ようやく落ち着いた。

「はあ、はあ…いいわ…とってもいいわ、巨乳娘ホルスタイン!!あなたのような逸材おもちゃを死なすのは、あまりにも惜しい…!あなたには|≪恋愛の神の加護≫《わたしのおもちゃ》をあげます。これからも精進なさい…」


「…ひう!?」

「?…どうしたんだ、エイミア?」

「い、いえ…恋愛ユリの神様に願い事をしたら、何か寒気がしたんです…」

「はあ?恋愛ユリの神様だあ?そんなバカみたいなの・・・・・・いるわけねえだろ」


「…貧乳娘には天罰」


ひゅーー…
ばいいんっ!

「アニャア!?…いてて…な、何でタライが空から…?」

「あ、タライに何か書いてありますね…えっと『貧乳はこのタライで洗濯でもしてろ』…ぷぷ」

「…エイミア…」

「あ、すいません!つい笑っちゃひぇみょーーーーんんん!!」


「ぶっ!あっはははははははははは!も、もう笑わせないで…ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

は、腹が!腹があああ!


「…?」

「ん?どしたのヴィー?」

「…いえ…何か笑い声が聞こえた気がしまして…」

笑い声?
…誰もいないわね…。

「…気のせいでしょ。それよりも水浴びするなら、ちゃっちゃと脱いじゃいましょ」

そう言ってビキニアーマーを外していく。

「………」

カチャカチャ

「………」

ガチャガチャ

「………」

…脱ぎにくいわ!

「ちょっとヴィー!私が脱いでるときにガン見するの止めて!やりにくいのよ!!」

「…はっ!あ、すみません!つい…!」


「おのれ…あの半裸女!せっかくメドゥーサの美少女が可愛い顔で眺めていたのに、何故に希望通りに見せてやらないのよ!」

私は印を組んで、術を発動する。

「お前にも天罰てきめん!」


…ブーーーン…
ちくっ

「いってええええええええっ!!」

「わっ!?びっくりした…どうしたんですかサーチ!?」

「せ、せ、背中背中!何かに刺されたあ!」

「え?背中を?」

ヴィーが私の背後に回って看てくれた。

「あ、蜂ですね。赤く腫れてますよ」

はちぃ!?
この季節外れに!?

「うぅ~、痛い痛い痛い~!ヴィー、何とかしてよ~!!」

涙出てきた~!

「はいはい、少し待って下さいね。すぐに回復を…」


「…まどろっこしいわね…。仕方ない、手を貸してやるか」


「…へう!?」

…へう?

…ぴと

「…!…な、何か柔らかい感触が…」

「そうですか?気のせいではありませんか?」

いや、気のせいじゃないよ…。

「これって…もしかしてメロン・・・?」

エイミアがスイカなら、リジーとヴィーはメロンよね…。

「ええ。サーチ専用の・・・・・・メロンです」

そんな専用はいらないわよ! 

「ていうか背中に当たってるって!」

「当ててんのよ」

だから何であんたがそれを知ってるのよ!!


「…いいわ。いいわよ!」

あんまりやっちゃ駄目なんだけど、私が直接あのメドゥーサ美少女に干渉して、性欲を増大させたのだ。
効果の程は、ご覧の通り…。


『ちょ、ちょっとヴィー!?あんたどこ触ってるのよ!こ、こら…』


「う、うふふふ!これよ!これが私が求めていた恋愛ユリなのよ!…さあ、堪能させてもらうわよ…!」

「…貴様は何をしているのだ?」

…ん?この声は…。

「え…あ!こここれは恋愛全般・・・・の神様!ごごご機嫌麗しゅう…ひぎゃ!」

恋愛全般を仕切っていらっしゃる上司の手が、私の顔を掴む。

「生憎だが私の機嫌はすこぶる最悪だ。何処かの馬鹿が、禁じられているはずの地上への干渉を行っているらしくてな」

メリメリメリ…

「いい痛い痛い痛い!顔が潰れる~!!」

「白状すれば緩めてやるが…」

「ごめんすみません申し訳ありません~!!私がやりました!」

「…そうか、認めるか」

「認めます認めます!」

「なら、これより刑を執行する」

「え゛」

めきっばきっ

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!!!」


「…あれ?私は何を…」

「…ヴィー?」

「え?何故私はサーチの耳を噛んでいるのでしょうか?」

「…私が聞きたいわあああっ!!」

ごんっ!!

「うきゃああああああ!」


その夜。
私の夢の中に、すっげえ美青年と顔に手形がついた女の子が出てきた。

『『大変申し訳ありませんでした』』

…はあ…。

『今回の事は、借りとさせていただきます』

借り?

『何か困った事がございましたら、何時でも呼び出して下さい』

…どうやって呼び出すの?

『では失礼します』

おいっ! 

『ちゃんとメドゥーサ美少女の想いに応えてやりなさいよ!』

おいっ!

『『ではさらば…』』

呼び出し方を教えなさいっつーの!おいっ!


「……呼び出し方を!…って、あれ?」

私は周りをキョロキョロ見て。

「…夢か」

現実を認識した。

「…で、何で私の左手にヴィーがくっついて寝てるのやら…」

寝ぼけて入ってきたらしい。

「…想いに応えて…か」

…余計なお世話だっての。

「…たく…またからかうネタが増えたわね…」

……想いに応えないわけ、ないじゃない。
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