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第十五章 あまりに長くてCになっちゃう…

第二十話 ヴィーに振り回されることが多くなってきて……でも、それも悪くないと思えちゃうんですよね…

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次の日の朝。
私が朝ご飯を作っていると、一番最初にヴィーが起きてきた。相変わらず寝癖…蛇癖?…がヒドい。

「おはようございます、サーチ」

「おはよ、ヴィー。卵は生で殻ごと?」

「はい、朝から丸飲みが健康の秘訣……って何をやらせるんですか!!」

めっちゃノリノリだったじゃない。
ていうか、それよりも。

「ヴィー、昨日の夜のことなんだけど」

「!…はい」

私はヴィーの目を見据えて、言った。

「…お酒飲むときはちゃん・・・・・・・・・・と申告してね・・・・・・

「…………はい?」

「あんたね、昨日の夜の酔い方はヒドかったわよ?」

「…………へ?」

「夜の見張りやってた私にいきなり絡んできて、突然のブチューよ、ブチュー」

「あ、や、いえ、その」

「終いにゃ押し倒されるかと思ったわよ」

「え!?そこまでは考えてませんし、そうなったらなったで…ゴニョゴニョ」

「…何?」

「いえ!何でもありません!」

「…まあいいけど…。私だったから良かったけど、これがリルやリジーだったら半殺しだったわよ。エイミアなら泣くし」

「………」

「飲みたい気持ちはわかるから。だから飲みたいときは、私に言いなさい。とことん付き合ってあげるから」

「………はあ…(サーチ以外にあんな事はしませんよ)」

「…何?」

「いえ、何でもありません」

「……何か気になるわね…。とにかく、飲みたいときは必ず私に言いなさい。で、絶対に私以外を誘っちゃダメ・・・・・・・・・・だからね?」

「…はい、わかりました」

じゃないと私以外に被害者が出ちゃうからね。

「すみませんでした、サーチ。近いうちに、お詫びも兼ねて一杯やりましょう。勿論、私の奢りで」

「…いいの?じゃあ次の町でね」

「はい、楽しみにしています。私は顔を洗ってきます」

そう言って近くの川に向かうヴィー。
そのときに。

「…なら、お酒を理由にしてサーチと2人っきりになれるのですね。後は、昨日のようになし崩しで…」

…と呟いていたけど、聞こえない。
聞こえないったら聞こえないの!


しばらくすると、全員起き出してきた。
朝ご飯を終わらせてから、大陸の地図を広げてリルと相談。

「グラツまでは、できるだけ早く行きたいな」

「いつ七冠の魔狼ディアボロスが現れるかわからないからね…」

そうなると…最短ルートを選ばざるを得ないから…。

「サウスルプス山脈を越える…の?」

「それって余計に遠回りじゃね?」

そう…よね。

「いえ、試してみる価値はありますよ」

「…ヴィー?」

「聞く限りですと、相当険しい山脈なのでしょう?そういう難所には、必ず抜け道があるはずです」

抜け道って…。

「山がある以上は、山に頼って生きている人間がいるのは必然です。猟師、木こり、山菜を集めて回る薬師…。彼らしか知らない道は、必ずあります」

「……そうか。蛇の道は蛇ってヤツか」

「はい、その通りです」

「「………」」

「…待っていても『…蛇だけに』なんて言いませんからね」

…ちっ。

「でも、それならギルドを頼れば何とかなるな。猟師や木こりなんかが『森の道案内』なんて仕事を請け負うこともあるし」

…なら、いけそうね。

「じゃあ次の町で、道案内する人を雇って山脈越えルートで行きましょう」

ムリなら正規の街道ルートで。

「じゃあ行き先は決まったわ。荷物をまとめて出発よ!」

「「「「了解!」」」」


「次の町で…うふ、うふふ…サーチを独占~♪」

歩きながら1人でしゃべって1人で笑うヴィー。
…気味が悪いもんだから、全員がヴィーから一定の間隔を空けて歩いてることにも気づいてない。

「…またヴィーが妄想モードに入ったわね…」

「サーチ姉、妄想というよりは暴走」

…違いない。

「この調子なら夜までには森を抜けられるな。確かこの森は、夜になるとゾンビが徘徊する地域だから…」

ゾンビかあ…。あんまり関わりたくないわね。

「臭い移りはマジで勘弁してほしい」

「あ、でもヴィーの|≪消臭≫《デオドラント》があるから…って、そういえば|≪消臭≫《デオドラント》はゾンビ系には即死級の効き目があったんだっけ。ヴィーに連発してもらえば、私達に臭い移りする心配もないわよ」

「なら安心」

「ヴィー!頼んだわよ…………ヴィー?」

「サーチィ…すりすり」

「!!……ヴィー!気を確かに!」

ヤバいので、近くに落ちていた枝を投げつける。

「うふふ……」

ぽこっ

「痛っ!な、何が…………ぃぃいやああああああっ!!」

正気に戻ったヴィーは、なぜか抱きついてすりすりしていたゾンビをブッ飛ばした。

「ゾンビ嫌ぁ!ゾンビ嫌い!大っ嫌い!!」

…手についた肉片・・を払いながら、ヴィーは涙目になっていた。
…半泣きのヴィー…も、萌える。

「おほんっ!…何であんたはゾンビに抱きついてたわけ?下手したら殺されてるとこだったわよ?」

ヴィーは私に注意されて、涙目でしゅんとした。
…涙目のヴィー…も、萌える。

「も、申し訳ありません。色々と考え事をしてまして…」

100%いかがわしい妄想よね?
たぶん私を題材にしたヤツ。

「…あんたに何かあったら一大事なんだからね?わかってる?」

「わ、私に何かあったら…一大事って…うふふ…」

…?
何かヴィーが頬っぺたに手をあてて、クネクネし始めたんだけど…?

「あんたが唯一の回復役なんだからね。何かあったら誰が回復を……」

……あ。
ヴィーの背後に「がーん」って文字が浮かんでる。
しまった、失言だった…。

「…わ、私にとっても一大事なんだから!ヴィーに何かあったらめっちゃショックなんだから!わかった?」

「!!は、はい!わかりました!…………ランララランララン♪」

……ふぅ~、フォローできた。
…浮き沈みが激しいわね、ヴィーは。

「サーチ姉。上手く操縦・・してね」

操縦って…。

「いやいや、結構重要だぞ。うちのパーティの回復兼バックアップを、一手に引き受けてくれてる逸材だぜ。サーチの言動で浮き沈みするんだから、がんばってヴィーの機嫌を取ってくれ」

ヴィーの機嫌をねえ…。


森を抜けてすぐの川原で1泊することにした。
野営の準備を終え、各自で休憩していると…。


「サーチ!!川で水浴びしませんか?」


「「ほらほら、ご機嫌取り」」

「な、何よそれ!?だったらあんた達も…」

「後は若い人同士で…」

あんたは見合いの仲人か!

「私達は行くのは野暮ってもんだよ。さっさと行け!」

「わ、わかったわよ…」

…変に気を回すなっつーの。

「………」

「ん?どうしたエイミア?何かムスッとしてるな?」

「……別に何でもないです。ただ…」

「…ただ?」

「…恋愛ユリの女神様から、天罰が下れって思っただけです」

「…はあ?」


…実際に、すっっごい天罰を食らうことになる。
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