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第十五章 あまりに長くてCになっちゃう…

第十六話 異空間に閉じ込められての戦闘!空からの攻撃に大苦戦?いえいえ、即死させちゃいますよね…

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「リルー!エイミアー!あとは私が引き受けるわ!交代ねー!」

へー…あれが有翼鬼ガーゴイルかあ…。ホントに岩で出来てんのね。

「で、ヴィー。さっきの話だけど…ホントに有翼鬼ガーゴイルはクズ男を食べたのね・・・・・?」

「はい。…あの…そういう直接的な表現は控えて頂けませんか?食欲に影響が出そうで…」

あら?ヴィーって意外と食べるのが好きなのかしら?

「わかったわよ…だけど」

ここでちょこっとイタズラ心が疼いたので、少しヴィーをからかうことにした。

「よく食べるのは大事だけど…私は今のままのヴィーが・・・・・・・・・好きよ・・・。あまりデブふくよかにならないでね?」

そう言ってヴィーの顎の先を、ツー…となぞった。

「…え…」

するとヴィーは「この娘、噴火するんじゃね?」というくらいの勢いで、全身を真っ赤にした。ありゃ、蛇まで赤い。

「あっははははははは!私の想像通りの反応ありがとう!あはははははははは!!」

「なっ…!!サ、サーチィィィィ!!」

「じゃ、さっさと片づけてくるわ」

私がヴィーとの会話を打ち切ったところで、リルとエイミアが戻ってきた。

「サ、サーチ。後はお願いします。つ、強いです」

「まったくだ。すばしっこい上に硬い。おまけに遠距離攻撃ばっかしてきやがるから、どうしようもならねえ」

「エイミアの電撃は?」

「効果がありませんでした」

…電撃が効かないのか…身体が絶縁体なのかしら。

「それとサーチ」

ん?

「ヴィーにあまり思わせ振りなこと言うなよ。ああいうマジメタイプは、絶対に真に受けるぞ」

「あら、別にいいじゃない。好きな気持ちは私も変わらないわよ?」

「いや、お前の好きは『友達として好き』なんだろ?ヴィーは純粋に」

どびゅん!

「あっぶなっ!…不意討ちとは汚ないヤツね…!」

リルとナイショ話してた私を、背後から有翼鬼ガーゴイルが急襲してきやがった!許せん!

「気をつけろよ!並みの速さじゃねえぞ!」

「わかってるわよ!それよりリル!」

「何だ!」

「あんたにピンクは似合わないわよ?」

「…は?」

「今の有翼鬼ガーゴイルの不意討ちの巻き添え。あんたのミニスカが犠牲になったわよ」

「え…い、いやああああ!見るニャアアアアアア!!」

リルの叫び声に背中を押される形で、有翼鬼ガーゴイルに対峙する。
私は|≪偽物≫《イミテーション》で盾を作り、両手に持つ。
そしてレッグガードの表面を、ミスリルでコーティングする。

ガア!

初撃は有翼鬼ガーゴイル。数発の魔力弾を右手から発射する。
私はその全てを盾で防いだ。
その瞬間に有翼鬼ガーゴイルは私に肉薄していた。

ガアアッ!

有翼鬼ガーゴイルの鉤爪が、私の首筋に迫る!
が。

ぎいん!

当然、盾で受け流す。
で。

「はああああっ!」

ばがんっ!
グギャア!!

がら空きだった有翼鬼ガーゴイルの脇腹に、私のハイキックが決まる!

「…この程度で…倒せるわけないか」

一応ミスリルでコーティングした足でのハイキックだったけど…。

ガア…!

まったく効いてないわね…!
さて、どうしようか…。

ガパッ

え?口を開けて…。
まさか!

ゴオオオオッ!

「あっつぅぅぅっ!」

あ、危なかった!
避けられたから良かったけど…まさか|≪火炎放射≫《ファイアブレス》までできるなんて…!

ゴオオオオッ!

有翼鬼ガーゴイルが連続で吐いてくる!

「くそ…!さすがに|≪火炎放射≫《ファイアブレス》は盾じゃ防げないわよ…!」

たぶん有翼鬼ガーゴイルは、それに気づいたんだろう。魔力弾を使わず、|≪火炎放射≫《ファイアブレス》のみで攻撃してくる!
私が避けるしかない状態に追い込まれていると。

「|≪聖水の加護≫《ホーリー・アクアヴェール》」

ヴィーが唱えた聖術が、私の肌を直接コーティングする感じで包む。

「サーチ!それで30分くらいは炎を無効にできます!|≪火炎放射≫《ファイアブレス》を気にせずに攻撃出来ますよ!」

「ありがとうヴィー、愛してるわよー!」

ついでに投げキッスもプレゼントしたら、ヴィーがひっくり返った。

ゴオオッ

「もう効かないわよ!くらえっ!」

もう1回ハイキック!

ごげんっ!
グギェッ!

今度は首筋にヒットさせたけど…どう?

ガ、ガアアアアアアッ!!

あ、怒ったっぽい。
てことは…まったく効いてないわけね。

「おい、ますます興奮してるみたいだぞ!最悪≪自爆≫しかねないぞ!」

あ、そうだった!
有翼鬼ガーゴイルみたいな、岩や金属で身体が構成されているモンスターには、≪自爆≫スキルがあるんだった!

「ヴィー!≪自爆≫の発動条件は!?」

「極度の興奮、だったと思います」

やべえっ!

「…仕方ないか…!即死させれば発動しない!?」

「え…?あ、はい。死んだ後に発動することはないです」

よーし!

「じゃあ何とかするわ!みんなは念のために離れてて!」

私は無限の小箱アイテムボックスに手を突っ込んで、目的のモノを確かめる。
よし、大丈夫!

「来なさいよ石人形!ボッコボコにしてやるわ!」

ガッ!?ガアアアアッ!!

あ、さらに怒った。

「ほら、かかって来なさいっての!」

ガアアッ!!

突進してきた!思うつぼ!
私はもう1回両手に盾を作り、有翼鬼ガーゴイルの魔力弾を弾き飛ばす。

ガアアッ!ガアアアアッ!!

完全に冷静さを失った有翼鬼ガーゴイルは、魔力弾を放ちながら突っ込んでくる。

「魔力弾なんか、効かないっての!」

魔力弾を全て防がれてさらに逆上した有翼鬼ガーゴイルは、私の目の前に迫る。

「シールドアタック!」

ばいん!

効果は薄いだろうけど、盾で有翼鬼ガーゴイルの顔をはたく。

ガアッ!

近距離で|≪火炎放射≫《ファイアブレス》を放つつもりみたいで、口を大きく開く。

「今だ!」

私は右手の盾を消すと、有翼鬼ガーゴイルの開いた口に右手を突っ込んだ。

ガグッ!?

そして右手を食い千切られないように、すぐに引き抜き。

「せいっ!」

がごっ!

右手にトンファーを作り出し、有翼鬼ガーゴイルを殴り飛ばす。

ガッ!ガガ…
バリバリ

何かを噛み砕く音が響く。
よし、勝負あり!

「サ、サーチ?一体何を?」

「まあ待ってなさい、もうすぐだから…」

バリバリバリ…
ガッ?……ガ……
ズウン!

「え、倒れた…」

「はい、即死完了。これで出られるでしょ」

「ははあ…有翼鬼ガーゴイルの口に真紅のサソリスカーレッドを押し込んだんだな」

「…あ!私の足にくっついていた…」

さすが最凶最悪の毒。
よーく効くこと。


バリン!

何かが割れるような音がしたあとに、私達は元々いたダンジョンに戻った。

「も、戻れた…」

「よ、良かったですうう…もう出られないかと思いましたあ…びええっ」

緊張の糸が切れたのか、リルは座り込み、エイミアは泣き出した。

「サーチ姉!どこに行ってたの!?」

「あ、リジー。ちょっと有翼鬼ガーゴイルと戦闘してきたの」

「え、有翼鬼ガーゴイル!!死体は?」

「え?持ってきたけど…」

「頂戴頂戴!」

え?

「…ああ…そういえば有翼鬼ガーゴイルって…呪われアイテムの一種ではありますね…」

……そうね。
言えなくは…ないか。

「…わかったわ。今回はリジーもがんばったんだし…ダンジョン出たらあげるわよ」

「やった!わーい」

子供かっつーの。

「ヴィーもがんばったんだらさ、ご褒美でサーチに添い寝してもらったら?」

「え!?ええええ!!」

またまた顔を真っ赤にするヴィー。

「いいわよ~。一緒に寝る?」

「!!!…はうっ」

「げっ!ヴィー!?ヴィー!…失神してるぞ」

…リアクションが子供かっつーの。
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