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第十四章 シリアスにDなんだぜ!

第十三話 リファリスがダンジョンにいた理由は………似たモノ同士惹かれ合うのかもしれませんよね…

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「な、何であんたがここにいるのよ!?」

「何よ~その言い方!せっかくリファ姉が助けにきてあげたのよ~?」

「ウソつけええっ!あんたがいる時はぜぇったいに違う目的がある時しか考えられないでしょ!…どうなのよリファリス!!」

私に問い詰められて「バレたか」と呟きながら、リファリスは舌を出した。


「で、なんでリファリスが汚泥内海ここにいるのよ?今は帝都にいるはずじゃ…」

「あん?あ、国防庁長官のこと?あんなんスケルトン坊やに丸投げしてきたわよ」

…哀れ、スケルトン伯爵。

「ていうかあんたが国防庁長官なの?まあ適任っちゃあ適任か…」

リファリス1人で大軍に突っ込んでいく様が浮かぶ。たぶんケタケタ笑いながら。

「それにしてもさあ、長官って何よ長官って!国防を纏める立場なら軍務尚書じゃないかな!?」

「国防庁長官でも軍務尚書でも防衛大臣でも同じよ…ていうかあんた名前が気に入らないからスケルトン伯爵に丸投げしたんじゃないでしょうね!?」

「当たり前じゃない。ダッサいネーミングじゃ仕事のモチベーションも段違いよ」

バカだ。
こいつマジでバカだ。

「で!?何度も聞くけど、なんであんたがここにいるのよ!?」

「…んあ?言ってなかったっけ?…あたしさあ、ここでペット飼ってるのよ」

ペットぉ!?

「自宅で飼えよ!!」

「し、仕方ないでしょ!モンスターを自分の屋敷で飼ったりしたら大騒ぎじゃない!」

「こっそり飼えよ!」

デカ過ぎて・・・・・無理なんだよ!!」

「デカ過ぎたって根性で…てデカ過ぎる?」

ま、まさか…。

「あんたが飼ってるモンスターって…?」

「ん?ヒュドラのひゅーちゃんはぐぅっ!」

「バアアカアアかあああ!!そんな危険なモンスターを飼い慣らせるわけないでしょおおおっ!!」

「いったああ…ひゅ、ひゅーちゃんは特別よ!お手だってお座りだって出来るんだから!」

「お手させた瞬間にこっちが死ぬわ!!…ていうかどうしてヒュドラを手懐けようと思ったのよ!」

「ん?あたしとひゅーちゃんの出逢い?んっふっふ、よくぞ聞いてくれました!あれは遡ることウン年前…」

あ、やべ。これ長くなるパターンだ。
…気づいた時には遅かった。 


…え~…要約すると。
昔リファリスがまだ現役の冒険者だった頃。
新大陸での依頼を終えたあと、なんとなく“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトを攻略したくなり…。


「…『なんとなく』なんて理由で“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトを攻略しないでよね…」

「まあいいじゃない。若気の至りよ」


トントン拍子でダンジョンを走破し、ついにダンジョンコアのある神殿へ。
そこに立ち塞がったのが守護神ガーディアンたるヒュドラだった。


「そう!それがあたしとひゅーちゃんの運命的な出逢いだったのよ!」

「あーはいはい」


一目惚れ?したリファリスは、3日3晩にわたる必死の努力によってヒュドラを手懐けることに成功。


「よくなついたな!?」

「つっこみはいいから大人しく聞きなさい!」

え~…飽きた。


で、ひゅーちゃんと名付けられたヒュドラは、守護神ガーディアンの仕事の傍らでリファリスと交流を深めた…らしい。


「…今では守護神ガーディアンの仕事よりもあたしとの時間を優先してくれるのだ!」

いや、それマズいだろ。
守護神ガーディアンの仕事のほうが大事だろ。

「……ヒュドラも後でソレイユに怒られるの、わかってやってるのかな…」

「?…ソレイユって誰よ?まさかひゅーちゃんを狙ってる?」

「いや、狙ってるっていうより元々の飼い主というか…」

「飼い主だとぉ!?おのれ!あたしのひゅーちゃんを横取りするつもりか!」

「ちょっと!現状だと横取りしたのは、リファリスのほうだからね!?」

「むぐぅ…!ならば実力で片を付けるのみ!!」

それを世の中「強盗」っていうのよ…。

「そのソレイユってヤツは何処にいるの!?教えて教えなさい教えろ」

…場所は暴風回廊ゲイルストームで、ソレイユは魔王様だよ~って教えたほうがいいかな?
…ていうか早くリル達と合流したいんだけど…。

「…私、仲間を待たせてるからさ、詳しくは合流してからでいいかな?」

「いいよいいよ!エイミアちゃんとヴィーちゃんに再会できるのも楽しみだし」

…私が恨まれそうな気がする…。


「サーチ…!何故連れてきたのですか!」
「…恨みますよ…」

…やっぱり…。
エイミアとヴィーはリファリスに再会すると同時に、セクハラ被害おしりにタッチをされて激怒していた。

「…それよりヴィー。ちょっと頼みがあるんだけど…」

「なんですかっ!」

…機嫌最悪…言いにくい…。

「…リファリスが魔王様ソレイユのヒュドラを飼い慣らしてるみたいでさ…」

「…はっ!?ヒュドラを飼い慣らしたぁ!?………命知らずな…」

うん、それが普通の反応だ。

「でね、ヒュドラの飼育権を賭けて魔王様ソレイユに決闘を申し込みたいみたいで…」

「………」

ヴィーが口をあんぐりと開けたまま固まってる。美人なのに、見る影もない。

「ヴィー、どうするの?」

「………あ、はい………私が決められる事ではありませんので、一度連絡してみます」

「そうね…ヴィーからのほうがいいか」

ヴィーがソレイユと連絡をとるために離れると、エイミアが寄ってきた。

「サーチ、ソレイユとリファリスさんが一騎討ちするって本当ですか?」

「もう一騎討ちなんて話になってるの!?」

そうなってほしくないんだけど!?

「いくらリファリスさんでも無茶ですよね?」

「…エイミア。勇者あんたはソレイユに勝てる?」

「ぜっっったい無理です!!」

「でしょっ!!?なのに一対一…つまり一騎討ちが苦手なリファリスが勝てるわけないじゃない!!」

「ええっ!?どどどどうしたらいいんですか!!」

私が聞きたいわよ!
ソレイユのことだから「その一騎討ちケンカ買ったあ!」って言うのは目に見えてるし…!
そうなったらリファリスが無事ですむはずがない…!

「サーチ、連絡終わりました」

きたあああ!
聞かなきゃならないんだけど、聞きたくないような…!

「ど、どうだった?」

「引用しますね。『今忙しいからヴィーに任せる!ていうかヒュドラは差し上げます』…だそうです」

「はいっ!?っていうか良いの!?」

「はい…元々あのヒュドラは魔王様の手に噛みつく程の乱暴者だったそうで…あまりに言う事を聞かないので、罰として汚泥内海マッドインランドシーのダンジョン内に閉じ込めたんだとか」

「閉じ込めたあ!?」

「そういえばヒュドラが外に出れないサイズの入り口だったな」

…ということは…。

「リファリス!ソレイユがあんたに飼育権を譲渡するそうよ!」

「…当たり前の結果よ。誰もあたし達の絆を断ち切る事はできないのよ」

…「飼育権の譲渡」というよりは…「厄介者よさようなら」の色合いが強いわよね…。

「…ではわたくしはひゅーちゃんと至福の時を過ごしてきますわ…失礼」

…よかったあ…円満に解決したわ…。

「あの…サーチ姉?」

「ん?何よリジー」

「…ヒュドラ…私がフルボッコしたばかり…」

「「「「あ」」」」


『な、なんでひゅーちゃんがこんなにボロボロなのよおおおっ!!』


…やべ。

「…総員、退避…」

「「「「…了解…」」」」
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