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第十三章 帝国潰してもEんです!

第二十四話 いよいよ皇帝の断罪開始!そして…帝国の落日が迫ってくるんですよね…

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「いいわ、へヴィーナ。あなたが発言したいのなら許可します。存分にやってしまいなさい」

「…魔王様……ありがとうございます」

そういうとヴィーは皇帝に向き直った。
ヴィーの頭の蛇達は活発に動いて牙を剥く。
へヴィーナ自身の目も蛇のモノになり、手足の先にウロコが現れ…長い牙が口に生える。
その姿は、まさにモンスターメドゥーサだった。

「…ランデイル帝国第十七代皇帝…あなたに聞きたいことがあります…」

「ひ、ひぃぃ!」

「…もしも何も答えなかったり…明らかに嘘を吐いた場合は…」

ヴィーの|≪石化魔眼≫《ゴルゴン》が発動し、皇帝の右手の親指だけ・・石化する。

「全身がその親指のようになります…そのおつもりで…」

「うぁ、うあああああ!!!わかった!わかったから殺さないでくれぇぇぇぇ!!」

…完全におちた・・・わね。

「まず質問ですが…なぜ魔王様に刃を向けようと思ったのですか?」

「は、ははい!…現在の帝国は…我の治世に刃向かう者ばかりで…税収が減り、我の贅沢せいかつにまで影響が出てきました。ですので…魔王…様を倒せば…再び我の思う通りになると…」

…ゲスね。
民のためでもなく、当然他の誰かのためではない。
あくまで自分が贅沢したいがために…!

「…続けます。そもそも魔王様に勝てるつもりだったのですか?」

「わ、我は勇者の子孫…ならば帝国に伝わる聖剣を使えば、“知識の創成”アカデミアの御加護によって討ち果たせると…」

…神頼みっすか。
しかもあの“知識の創成”クソジジイ頼みかよ。

「…次です。なぜ魔王軍の内部に間謀スパイを放ったのですか?」

「間謀!?し、知らん!我は何も知らん!」

それを聞いたソレイユがニィィ…と笑った。

「知らないのねぇ~?ホントに知らないのねぇ~?……嘘だったら腕一本貰っちゃうよ?」

「ひぃっ!よ、よよ良かろう!うう腕の一本くらいくれてやる!…我が知っていたと証明できるのならな!」

言質はとった…てヤツね。

「わかったわ~♪もし違ってたらアタシの腕をあげるわね」

「ま、魔王様!?」

「心配無用よへヴィーナ。アタシが信じられない?」

「そういうわけではありません!このような下賤な輩と自らを同列に並べるなんて…!」

あ、ヴィーが皇帝のことを下賤呼ばわりした。

「…アタシは負けないよ。絶対にね」

そう言ってソレイユは念話水晶を取り出した。

「……もしもーし。聞こえる?」

『…は……はい…はい、聞こえます』

「指示通りに貴族に会えた?」

『はい。もう捕らえてあります』

「お、行動早いね♪…ちょっとお願いがあるんだけど…」

『はい、何なりと』

「今からさ、皇帝陛下と会話してもらいたいんだけど、いいかな?」

『大丈夫です』

「じゃあ代わるね…はい、偉大な皇帝さん。証人よ」

「証人だと……なっ!?貴様は!?」

…おもいっきり動揺してるし…半分白状したようなもんね。

『お久しぶりですね、陛下。私は陛下から直接指示された・・・・・・・通りに、魔王様の元で諜報活動を邁進していましたよ?』

ソレイユが念話水晶で会話し、皇帝と話すよう促した相手…それは“秘密の村”にエビルシャーマンに化けて潜り込んでいたエルフだった。

『私は純粋にモンスターのことを知りたかっただけでした。しかし陛下は私に間謀をするように強制した。そして…拒否したら…私の故郷を滅ぼすと…!』

「…ひどい」

エイミアの一言が周りに響いた。
でもこの言葉は、皇帝を除いた全員が思っていることだ。

「…どうなの、偉大な皇帝さん。言い逃れはできないわよ?」

「ふざけるな!わ、我はこのような亜人は知らん!全部捏造に決まっている!」

…ホントに往生際が悪い…。

「あっそ。じゃあ証人第2段ね~♪」

すると念話水晶の中に、顔をあちこち腫らした貴族が出てきた。

「…スクード伯爵!?何故?」

『…私は魔王の手先に捕らわれ…全てを話すことによって助命されました。私は陛下に命令され、このエルフを間謀として推薦しました!その後の連絡役にもなりました!…これでいいのか!?これで私は助けてもらえるのだな!!』

「はいはい、約束は守るわよ…もういいわ、証言ありがとう」

そう言ってニッコリ笑うソレイユ。だけど目は笑っていないばかりか、汚物を見るような冷たい視線だった。

「う、うう…!」

「さて、これだけの証言が得られたんだから……偉大な皇帝陛下が否定したところで通用しないわよ?」

「ち、違う!違うんだ!」

「はい判決は有罪…へヴィーナ、執行」

「はい」

「が…うがあああああ!!腕が!我の腕が石に…ぎああああああ!!」

「…腕が石になったくらいでうるさいわねぇ…」

(サーチ)

(?…なあに、ヴィー)

(痛いと思いますよ。わざと痛くなるように石化してますから)

(…グッジョブ)

(…へ?)

何でもないです。ヴィーには通じないわね。

「うぐうあああ!痛い痛い痛いいいいい!」

「…うるさいわね…へヴィーナ、痛いのは止めて」

「はい」

「んぎいいい…は、はあ、はあ、はあ…」

皇帝は痛みから解放されると、石化した腕を抱えて座り込んだ……げ、いろんな液体が流れ出てる…。きったなあい…。

「…………ぅぇ…」
「……最低」
「………………ぅあ」

当たり前だけど……全員ドン引き。

「……さっさと終わらせましょう。見るに堪えません」

ヴィーは次の質問を始めた。

「あなたは自分が勇者の子孫だと言っていますが…本当ですか?」

「な、何度も言わせるな!我が帝国は勇者の子孫たる我が統べる国ぞ!」

「だから…証拠は?」

「帝国に伝わる聖剣と王冠こそが確たる証拠ではないか!!」

「はあああ…ヴィー、その聖剣を貸して」

「この剣ですね…どうぞ」

ヴィーから渡された剣を持って何か呟くソレイユ。たぶん聖術だろう。

「……ふうん、一応祝福がかかってるわね…効能は……フムフム…ぶっ!」

熱心に調べていたソレイユは、突然吹き出して笑い始めた。

「あっはははははは!最高!マジウケる…!ぶふふふ、あははははは!!」

「何?どしたの?」

「ははは、はあはあ…あーお腹痛い…!こ、これね、この剣ね、“繁茂”が作った“癒しの緑剣”よ!」

「癒しの…緑剣?」

「そう!この剣で斬るなり刺すなりすると…!あーら不思議、逆に回復させる・・・・・・・のよ」

「「「…はい?」」」

「だからね、どんな生物にもどんな大怪我でも…この剣を刺すと…!」

「回復しちゃうと?」

「そう!だからこの剣で戦うってことは…」

…普通に考えて…勝てるわけないわね。

「そ、そんな馬鹿な!」

「じゃあ実践♪」

ぶっすぅ!!

そう言ってソレイユは皇帝にぶっ刺した。

「いぎゃあああああ!いだいいだいいだいいい……っ…あれ?痛くない…」

「ほら、腕を見てみなさいよ」

「…な、治ってる………なんたることだ…」

「あと王冠ね…皇帝陛下、被ってね」

ソレイユは“覇者の王冠”を皇帝の頭に載っけた。

「ぐ…ぐぉ…ぐごおおお!」

ごすっ!

あ、皇帝の頭が地面にめり込んだ。

「はい回復回復」

ソレイユは緑剣で皇帝をブスブス刺して回復させる。

「お、重い…!やはり我には無理だ…!」

「つまりあなたは勇者の子孫でも何でもないと。で、エイミア、被って」

「はい…ブカブカですね…ってあれ?」

明らかにエイミアの頭には大きすぎた王冠は、あっという間にエイミアにぴったりなサイズになった。

「あ、ジャストフィットしました」

「そ、そんな…では、お前は本当に…」

「そ。エイミアが勇者よ…元だけど」

…皇帝は、その場に崩れ落ちるように屈み…。

「……我が非を…認める…」

…と呟いた。
この瞬間、ランデイル帝国の皇帝の権威は…潰えた。
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