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第十三章 帝国潰してもEんです!

第八話 改革派の偉い人に連絡しに行ったんですけど…何だか人口密度が濃い屋敷になってるんですよね…

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「連絡つけるんなら…有力な人からですよね」

「そうね…」

改革派のトップって…?

「伯爵ー。改革派で一番偉い人は誰ー?」

「…ソサエト侯爵だ」

ソサエト?何か追加情報があったような…? 

「非常に優秀で人格者なのだが…それを差し引いてマイナスになるほど女好きでな…」

あ、それだ。
少し前に侯爵邸の門番と会話したんだけど…ソサエト侯爵の影響うけまくりのスケベだったからねえ…。

「うえ…あんまり会いたくないな…」

「いいわ。侯爵は私が話をつける」

「え?いいのか?」

「別にいいわよ」

前世じゃあ、その手の変態が標的ターゲットになることもよくあったし。扱いに関しては、リルよりは慣れている。
…ていうかリルは免疫なさそうだからね。

「あ、ありがとうサーチ!」

「リルは2番目に影響力がある人をお願いするわ。伯爵、次に偉い人は?」

「…リフター伯爵だろうな…」

リフター?…そいつは知らないわね。

「おーけー!リフター伯爵だな…。どんなヤツだ?」

「そうだな…容姿端麗、才色兼備、そして抜群の政治的センス。性格も申し分ない」

「…そのパターンだと…とんでもない欠点があるんじゃねえか…?」

「そうでもない。単なる同性愛者・・・・なだけだ。少しだけ節操がないのがたまに傷だがな」

「ど、同性愛者……なら問題ないな。女の私がどうこうされることもないし…」

「いや、しかし」

「じゃあ私、先に行くぜ!」

しゅたっ

…あいつ…私が「代わって?」って言う前に逃げたわね…。
ていうか代わるつもりはなかったけど。

「ああ…行ってしまった…」

…そういえば…伯爵、何か言いかけてたわね。

「どうしたんです?」

「あ、ああ…最後まで聞かずに行ってしまったので…」

最後までって…。

「…重要なことなんですか?」

「ああ…リフター伯爵は語尾に夫人がつく・・・・・

へ!?

「それって…女性の伯爵・・・・・ってことですよね!?」

「…無論」

あ~あ…同性愛者で節操なし・・・・・・・・・のとこへ行っちゃったのか、リルは…。

「…リル…自分で選んだ道なんだから……成仏しなさいよ」

…合掌、礼拝。


「じゃあ私も行くから、留守中の警備よろしく」

「はい。お気を付けて」
「お土産はいらないですからね」
「ふぁいと一発!」

…何か緊張感のカケラもない見送りをされつつ、私もスケルトン伯爵の家を飛び出した。
屋根伝いに移動しつつ下を見ると。

「…大会のときより治安が悪化してるわね…」

裏通りや細い路地には、見た感じが怪しさ満点の人達がたむろしている。
しかも大会開催中にはウジャウジャいた警備隊が全く見当たらない。

「…警備隊の予算をケチってるのかな…」

スケルトン伯爵の話だと、相変わらず増税される一方らしい。

「…それでこの治安じゃあ…帝国も末期よね…」

皇帝の誕生日なんて祝ってる場合じゃないでしょうに…。


…なんて考えながら移動していると、ソサエト侯爵の屋敷が見えてきた。

「…あのスケベな門番は健在か…」

そのまま屋敷の周辺をぐるりと1周し、監視の有無を確かめる。
結果はやっぱり…と言うしかないくらいウジャウジャ密偵がいる。

「…何か統一感が無いわね…」

見事なくらい存在を悟らせないのから、「やる気あるのかよ…」とつっこみをいれたくなるくらいのまで。
…ここは慎重にいかないとマズいな。

約2時間。
周りの密偵達を注視し続けたら、どうやら複数の勢力が絡んでいるみたいだった。
やはり多少なりは連絡を取り合っているみたいなので、連絡員を追ってみると…。

「少なくとも3つぐらいは関係してるか…」

ていうか密偵達も、あまりの過密状態に辟易してるみいだし…。

「…じゃあ…監視の交代の時間を狙いますか…」

ついでに手土産・・・も調達してこ。


さらに2時間後。
辺りが暗くなって来た頃。密かに屋敷に近づく気配を感じた。
明らかに訓練された足取りだったので。

ドカッ!ゴスッ!バキバキバキィ!

「あがっ!うぐ!ぐ!ぐ!ふぐぅっ!…っ…」

交代要員らしい女性の口を塞ぎ、5、6発殴って気絶させる。
別に私より胸がデカいから余分に殴ったんじゃない。
目の錯覚か空耳か気のせいだろう。
グッタリとした女性を縛って植え込みに放り込む。

「…さて…監視がいない間に入り込んで…と」

少しだけ窓が開けてあったベランダから侵入した。

「……誰もいないわね」

…警備兵の気配がない。

「おかしいわね…これだけの屋敷なのに、人の気配がない…」

まるで…誰もいないみたい…。
イヤな予感MAXになりながらも、少しずつ進んで…。

「!!」

私の前を何か・・が通り過ぎた!

「うりゃあ!」

おもいっきり蹴りあげる!

ガチン!

剣が空中を舞う!
素早くリングブレードを作り、斬りつけ…。

「ちょっと待て待て待て!!」

「ん…?何よ?」

「危ないだろ!」

「お前が言うなあ!物陰から斬りつけてきといて『危ないだろ!』はないでしょ!」

「はあ!?意味わかんねえよ!俺はただ剣の素振り・・・・・してただけうごおっ!」

「ウソつけぇぇぇ!!」


「…マジですか?」

「「「マジです」」」

…廊下で言い争いをしていた私と警備兵は、突然現れた警備兵の団体さん・・・・に連行された。
かなり広い豪華な部屋に連れ込まれ、周りを男に囲まれた私。
貞操の危機身の危険を感じた私は「ぎゃああああ!痴漢んんんん!!」と声の限り叫んだ。
そしたら、ホウキやらモップやら握ったメイドさん達が「痴漢ですって!?女の敵よ!」とか言いながら乱入。
もう何がなんやら…。
で、代表者?を集めて話し合って、現状が把握できたのだ。

「…じゃあ…侵入者の気配だけ丸わかりになる魔術がかかっていると?」

「はい…なんせ屋敷の周りが不審者だらけですので…」

まあ…確かにこんな魔術がかけられてれば絶対安全だわね…。

「…で、あなたはホントに素振りしてただけ?」

「はい…見回り中にやってはいけないとわかってたんですが…試合が近くて…」

「…私が近くに来てるってわからなかったんですか?」

「素振りに熱中してました…。ああ、こんな近くの気配に気づかないなんて…!これじゃあ勝てない…!」

…すいません。ムダに自信を削ぎ落としてしまったみたいで…。

「それと~…メイドさん達は?」

「「「私達は痴漢やセクハラを絶対許しません!」」」

「…この屋敷はメイドの権力ちからが強力でして…」

…さいですか。

「ただでさえメイドの1人が行方不明で、心配したメイドが全員詰めていたので」

へ?行方不明?

「母親が倒れた、ということで急遽実家に戻ったっきり…」

…まさか。

「あの…特徴は?」

「はい?…小柄で…可愛い顔つきで…」

やべえ。合致する。

「何か武術を習ってたり…?」

あの足取りは…相当訓練されたモノだった。

「…何故ご存知なんですか?確かにそのメイドは元諜報員・・・・ですが…あの、ちょっと?」

私は全速力で植え込みに向かった。


やっぱり行方不明のメイドさんでした。
「途中で連行されていたから助けた」と言ったら信じてもらえたので助かった…。

…良心がちょっぴり痛む。
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