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第十二章 保護活動でFになっちゃった。

第十七話 先行きが不安すぎるスワリに関しては、私が導いてあげませう…なんですよね…

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「こここですぅ」

「…『こ』が1個多いわよ」

「はひっ!?ごごごめんなさいぃぃ」

怯えすぎよ!

「サーチ…お前はしゃべるな」

むぅ。

「…わかったわ、リル任せた」

「…スワリ、お前もちょ」

「ひええええぇぇぇぇ!!…ガクガクブルブル…」

「何でだよ!まだ何も言ってねえだろっ!?」

「…食べないでくださあいぃぃ…」

「食ああべええるううかあああああああ!!」

…あ、そっか。

「リル、あんたもダメだわ」

「何でだよ!!」

「だって…鳥の天敵・・・・じゃん、あんたって」

「あ、そうですね」
「なら私もダメ。狐も鳥の天敵」

…どうすることもできなくなったリルは、しばらく口をパクパクさせてから…。

「……エイミアまかせた」

「…私しかダメみたいですね…わかりました」

そう言ってエイミアが前に出た。
歩くたびにゆっさゆっさ揺れる胸を見て驚愕するスワリ。
決して小さくはない自分のモノと比較したスワリは、ガクリと膝をついて。

「…負けたぁ…」

…と呟いた。
大丈夫。ここにいるみんな全員共感できるから。
…特にリルが「いでええっ!!」

「…お前懲りてねえみたいだな…」

す、すいません。

「スワリ、ここに何があるんですか?」

スワリはしばらく俯いていたが、エイミアの声に顔をあげ。

「ここが“秘密の村”の入り口でございますぅ、エイミアぁ」

!?
何で急に様呼ばわりなのよ!

「…私が愚かでしたぁ…村で一番の私はぁ…それなりに世界に通用すると思ってましたぁ」

…何が世界で通用するしないなのやら…。
ていうかスワリも十分にたわわ・・・なモノをお持ちですが。

「私は井の中の蛙でしたぁ!上には上がいるのですねぇ!」

…エイミアはこの世界で上位陣だから比較しちゃダメよ。

「だからエイミア様ぁ!どうか秘訣を教えてくださあいぃ!」

「え、えええ!?」

おーおー、エイミアが困ってる困ってる。

「ひ、秘訣とか言われても…!私は指先1つでダウンできるツボなんか知りません!」

「それは秘孔よ!ていうか何でエイミアが知ってるのよ!」

「それよりもぉ!秘訣をぉ!秘訣ぅおおおおお!!」

ていうか話が進まない!
仕方ない!

「スワリ、いい?そんな秘訣があるのなら…!私もリルもリジーもとっくに巨乳・・・・・・よ!!」

…スワリは私とリルとリジーを見比べて…。
崩れ落ちた。

「…確かにぃ…サーチさんの言う通りですぅ……サーチさんはともかくリルさんは手遅れ・・・ですぅ」

「「「あ」」」

…そうか。スワリは知らなかったのね…。

がしぃっ 

「ひぇっ」

「スワリぃぃぃ……ちょっと向こうの木陰へ行こうか?」

「えっえっえっ…」

スワリが私達に「助けてくださあいぃぃ」という視線を送ってきたが…。

「「「………」」」

全員一斉に目を逸らす。

「えっっ!?」

ズルズルズル

「いやああああああぁぁぁぁぁぁ…」

…今回はスワリが生け贄となりました。
合掌、礼拝。


「…スワリ…大丈夫……じゃないわね」

「あぅあぅあぅ…」

頭に雪だるま状態のたんこぶを作ったスワリが、半泣きで頭を擦っていた。

「…少しは手加減してあげなさいよ…」

「手加減!?したくねえけどしたよ!」

「リル…スワリは知らなかったんですから…」

「エイミア、フォローになってないわよ…そもそもスワリがリルに関して見た目・・・で察してあげないとダメだったのよ…」

「………おい、私の見た目で何を察しろっていうんだよ?」

あ、しまった。失言だった。

「んなもん『リルがバストサイズが小さいことを気にしてる』って事に決まってるじゃない」

「そ、そうなんですか?」

「そうなんですか?…じゃないわよ。スワリもソレイユの下で働くんなら、それぐらいの判断はできるようにしないとダメよ」

がしぃっ

「…何よ」

「サーチ…ちょっと向こうの木陰へ行こうか?」

「後にして。スワリには大切なことなの」

私は頭に乗っかっていたリルの手を払ってスワリに向き直る。

「スワリの飛行能力を活かすのなら、やっぱ偵察が一番だと思う。そうなると他人を観察する目が重要になってくるわ。いい?偵察とはそもそも…」

…しばらくの間スワリに「偵察の心構え」を熱弁した。

「リル、あんたが気にしてることをダシに使ったことは謝るわ。でもスワリには重要なことなの。わかって」

「……はあ……何か頭も冷めちまったな。いいぜ、たっぷりとシボってやれよ」

「ありがと…でね、スワリ。偵察とは…」

「ふむぅふむぅ」

スワリも偵察に興味を抱いたらしく、熱心にメモをとっていた。
ん~…本気で教えないとマズい感じになっちゃったわね…。
え?本気でスワリに偵察を教えてたんじゃないのかって?
…つい口が滑ってさ、「見た目」なんて発言しちゃったから…。
…失言を誤魔化すために、スワリに偵察うんちくを語り出してみたんだけど…まさかスワリが真剣に聞き入るとは思わなかった。
まあ…本人はやる気があるみたいだし…しばらく付き合ってやるか。


…辺りが暗くなり始めた頃。

「…ていう感じかな。どう?少しは為になった?」

「はいぃ!とっても勉強になりましたぁ!…鎧に身を包んで自分を誤魔化してちゃ駄目なんですねぇ…」

…なぜその解釈になった?私、単に偵察の具体例をあげただけなんだけど。

「サーチさんが私の才能を見抜いて下さっていたのは感激ですぅ!」

「…はい?」

「私の類い稀な偵察の才能を伸ばさない手はない、と仰ってたんですよねぇ!」

ちょっと待て。私は一言もそんなことは言ってない。

「わかりました!私、一から修行し直します!武術も体裁きも偵察向きのモノを修得して…!必ずサーチさんのご期待に添えるよう頑張ります!」

いや、期待するも何も…ちょっと!誤解をさらに加速させないでよ!

「思い立った日が吉日!善は急げ!先手必勝と言います!早速魔王様の許可をいただいて修行の旅に出ます!では!」

ばひゅん!

「…おーい…ちょっと…」

…私が失言を誤魔化すために語った適当なうんちくが…スワリの人生を変えちゃった…かも。

「…あ!ソレイユに一報いれておかないと…!」

急いで念話水晶を取りだし、ソレイユを呼び出す。

『………………はいはーい、ソレイユだよ~…ってサーチか。どうしたの?』

…ベッドに寝転びながら。しかも裸っぽい。
…何をしてたかは聞くまい。

「…お楽しみ・・・・のところをゴメンね」

ソレイユの顔が一気に紅潮する。
…こいつ、この手の話題が苦手なのか。

「…ウブね」

『!!!…~っ…こ、今度覚えてなさいよ…!』

それはさておき。

「急ぐから用件だけ。そっちにスワリが向かってるから…」

『スワリが?何で「どぐわああん!!がしゃん!ぼかん!がらがらがら…」…今着いたみたいよ』

「えーっと…実は…」

事の次第を細かく説明する。

「…というわけで…かなりの誤解と暴走を…」

『え?いいんじゃない?』

「は?いいの?」

『スワリがちゃんとやる気になったの、今回が初めてじゃないかな。それにアタシもスワリは偵察向きだと思うよ?』

…そうなんだ。
なら…。

「…ソレイユ、後はお願いしてもいい?」

『いーよー。スワリの希望通りにするよ』

…まあ…なるようになるか。

『…サーチ』

「?…何?」

『…スワリを導いてくれて、ありがとね』

そう言うと、ソレイユは念話を切った。

「…導いた…のかな?」

ただリルに殴られるのがイヤだっただけなんだけど…。


後に。
スワリは“世界一”と称されるほどの偵察の名人として知られるようになるが…。
それはまだ先のお話。
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