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第十二章 保護活動でFになっちゃった。

第一話 ようやく穏やかな旅路が戻ってくるんですよね……あれ?今度はソレイユの雲行きか…ですよね…

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ごがんっ!
ギエアアアアア!!
ずどんっ!
ウゴオオオオオ!!
ばきゅめきっどごっ!
メキメキメキ…ずしいいんっ!! 
バリバリ!ぐどおおおおん!!

…いきなりものすんごい効果音が響く。
え?何が起きたのかって?
最初の「ごがんっ!」でウッドオーガを叩き折り、次の「ずどんっ!」でウッドアントを2匹同時にぶっ潰した。
で、木の上に潜んでいたフォレストメイジを落とすために木を殴り倒し。
止めに静電気を纏わせた一撃を見舞って木っ端微塵にしたのだ。
…ちなみにこれ、エイミアが|≪正義の棍棒≫《ジャスティスパイク》の試し殴りを行った結果だ。
…釘棍棒の名前にはつっこみをいれないように。エイミア本人は気に入ってるのだ。
私は個人的に≪エイミアハンマー≫と呼んでいる。いちいちルビもめんどくさいし…。

「ん?るびってなーにー?」

勝手に心を読むなって何回言ったらわかるのよ、この魔王様は!

「え~…宝石よ宝石!よく指輪にしてるわ」

「へ~…宝石ねえ~…ふ~ん」

なぜかサングラスをかけてギター鳴らしてる人が浮かんだ。私も古いな…。


「めっちゃ良いですよ|≪正義の棍棒≫《ジャスティスパイク》!軽いし強力だし|≪蓄電池≫《バッテリーチャージ》にも耐えるし!」

「ていうかやり過ぎよ!今回の依頼は『畑を荒らすウッドオーガを討伐してくれ』なのよ!?森を半分吹っ飛ばしてどうすんのよ!!」

「いひゃい!いひゃい!いひゃい!」

「おー、よく伸びるわねー…やってみよ」

「いひゃい!いひゃみょーーーーんんんっ!!」

「あっはははは!出た出た!エイミアの『みょーん!!』が!あはははは!…もっとやっちゃえ!」

「みょみょーーーーーんんんっ!!」

「あはははは!あっはははは!!」

ちょっと…さすがにそこまでやると裂けない? 

「ま、いいんじゃねえか…私も試してみたい気持ちはわかるし」

そう言ってリルはフィンガーリングを指にはめた。

「…ん?…リル、フィンガーリングの先についてる金属は何?…オリハルタイトに見えるんだけど…」

「あ、言ってなかったか?少しだけ余ったってソレイユが言ってたから、フィンガーリングの先につけてくれって頼んだんだ。そしたら全体的に強化もしてくれてさ」

「…さすがニャンコ先生と慕われるだけはあるわね」

がっ!

「…余計なことは言わニャいように」

す、すいません…。

「…さあて!私も自然破壊してくるか!」

するなあああああっ!!前世みたいな温暖化現象起こすんじゃねええええっ!!


「…とりあえずウッドオーガ討伐完了しました。ついでにウッドアント50匹とフォレストメイジ20匹、なぜかいたウッドリザードも3匹ほど」

「へっ!!?う、ウッドリザードおおっ!?」

ざわっ

ギルドの受付嬢の叫び声で周りからどよめきが聞こえた。
ウッドリザードはリザードトカゲとはいえ立派なドラゴンだ。普通なら私達程度のクラスで討伐できる相手ではない。

「……まさか森の主を討伐しちゃったんですか!?」

森の主って…。
近くの池にいる池の主でっかいコイみたいなノリね…。

「3匹って…全部か」

ちなみに3匹ともソレイユが殺りました。

「ま、いいじゃないですか。ドラゴンなんていう脅威を取り除くことができたんですから」

私達が殺ったんじゃないけど、報酬も感謝もたっぷりと期待してます。

「…なんてことを…」

…はい?

「なんてことをしてくれたんだ!」

え?何で?

「あの森のウッドリザードは重要保護モンスターなんだぞ!?」

「「「はあああっ?」」」

…?
天然記念物みたいなモノかな?

「あの…失礼ですけど…ウッドリザードなんてどこにでもいません?」

ドラゴンなんだけど比較的どこの森にもいる。おとなしいけど餌が無くなると移動して、たまーに人間を襲ったりする。
なので冒険者が見つけた場合は、ギルドに通報することが義務付けられている。
かなり早めに討伐隊も組まれるだろう。

「違あああう!!ここのウッドリザードは稀少種なんだ!…とにかく出してみろ」

あ、はい。
言われて私は無限の小箱アイテムボックスからウッドリザードの死体を出した。

「ああ…なんて酷いことを…」

…どう見ても普通のウッドリザードよね?

「いいか?よく見てみろ」

そう言ってギルドの職員達は、ウッドリザードの舌を伸ばし始めた。
ウッドリザードの舌はかなり伸びる。それで獲物を捕まえて食べるのだ。
…要はでっかいカメレオンね。

「…ほうら!違うだろ!」

…?

「「「「…何が?」」」」

「な!?わからんのか…?このウッドリザードはな…」

ギルドの職員は舌を指差した。

「普通のより舌がちょっと長い・・・・・・・・んだよ!」

「知るかあああっ!」
「わかるかあああっ!」
「どうでもいいですっ!」

…リジー以外の全員からつっこみが入るという珍しい状態になった。


…ギルドで散々揉めたものの、ウッドリザード以外の討伐の報酬は貰えた。
ウッドリザードは………「生物学的価値ガー」とか「供養代ガー」とかめんどくさいこと言い出したので………置いてきた。
ていうか「供養代ガー」とか言ってたヤツ。ウッドリザードの素材売って捻出するつもりだったのか?

「…重要保護モンスターなんて初めて知ったわ…」

「なんだ。サーチは知らなかったのか」

そう言うとリルが説明してくれた。
稀に出現するモンスターを保護しよう、という活動が活発になってきてるのだ。
例えばアルビノのゴブリン。体が真っ白なため、他のゴブリンから迫害されることも多く…見ることもあまりない。
なので発見された場合はすぐに捕獲して、丁重に保護するんだとか。

「…阿呆らし」

そんなのよくある突然変異じゃない。

「私もそう思う」

「モンスターの保護って…何だか…」

「単なる自己満足」

リジーは相変わらずバッサリいくわね…。

「だけどさ、この保護活動がいま広がっててさ…モンスターを狩って生活してる冒険者への風当たりが強くなってるんだ」

「…ギルドは何をやってるのよ…」

「そのギルド内部で活発になってんだよ」

ギルドダメダメじゃん!

「めんどくさいことしてるわね~…あんなのダンジョン産よー」

「ダンジョン産でも突然変異てあるの?」

「…まあ完璧なシステムなんてないから…ある程度のイレギュラーはあるよ」

…そりゃそうか。

ざわざわっ 

…ん?

ギルドが騒がしいわね。

「…なんだろ」

「?…さあ」


『おい!稀少なモンスターが見つかったらしいぞ』

『ホントか!?またウッドリザードが?』

『いや、珍しく人型らしいぜ』

『どうやら半蛇人ナーガらしい』


「へえ…珍しいわね…」

「!!…なんで…」

「??…どうしたのソレイユ?」


『どうやら言葉を喋って…しかも意思があるらしい・・・・・・・・んだ』


意思って…まさかっ!?

「ソレイユ!」

「っ…!チクショウ!!」

ソレイユは珍しく声を荒げる。
私達は顔を見合わせるしかなかった。
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