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第八章 新大陸でEになる!
第二十話 湯治とマッサージですっかり傷が癒えました!…そして意外なヒントが…ですよね…
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“死神の大鎌”が出てきたとなると私達が勝手に判断しないほうが良いだろう、ということで。
『サーチ達は何かしら荒事を引き寄せますね…』
とりあえずニーナさんに報告をしてギルドで対策を検討してもらうことにした。
「そうよね~…仲間にハイエルフの女王はいるわ、“三冠の魔狼”に番認定されるわ、果てには魔王ソレイユと友達になるわ…」
ついでにエイミアの聖剣には元最高神もいる。死にかけだけど。
『…強運と言うべきか凶運と言うべきか迷いますが……あ、すいません。対策会議が始まるようですので一度席を外します』
「わかったわ。結果は教えてね」
『わかりました。では』
…ホントは教えちゃマズいんだろうけど…。その辺りは意外と融通が利くのよね…全くありがたい。
「リジー、欲しいのは普段のあんたの態度や物欲しそうな視線で充々分にわかったからさ。おとなしくしてなさいよ?」
「良い子にしてる」
良い子って…幼稚園児かっつーの!
「……あんた何歳よ……」
「正式にはまだ0歳」
…そう言えばそうだったわね。
「おいサーチ…露天風呂に浸かってやることかよ…」
え?
前世でも風呂にスマホ持ち込んでたから全然違和感無くやってたけど…。
「…変?」
全員頷いた。
「…つーかよ。風呂に水晶玉持ち込んでブツブツ独り言言ってるヤツ…関わりたいか?」
…イヤです。
そう言えばニーナさんも「湯気で視界が悪いですね」とか言ってたわね。
「ん…やめる…」
…今さらだけど周りの痛い視線に気付いた。
風呂の後に私とリルはマッサージをしてもらうことにした。小まめに治療をしてるけど、完治まではあと少しらしい。まあこれはリフレッシュも兼ねてるので時間をかけている。
エイミアとリジーは遊びに行った。2人してピンポンにハマっているらしい。
「しかし“死神の大鎌”を賞品に出してきた意図がわからねえな」
まったくだ。
装備することなんて当然ムリだし、売ろうとしても値段はつかないだろうし、持ってても重いだけだし…。
「…そうよね…正直優勝賞品というより厄介モノを押し付けられる、て感じだし」
なんせ曰く付きを越えた悲惨な伝説付きだからねえ…。
「でもマーシャンの話だと呪剣士は問題なく装備できるんだろ?もしそうならリジーの大幅な戦力アップになるぜ」
…ハアアアア…。
ホントにそうならありがたい限りなんだけどね…。
「私も最初はそう思ってたのよ…ただ大きさがねえ…」
「…そんなにデカいのか?」
私はリジーが置いていった“首狩りマチェット”を指差していった。
「あれの3倍」
「はああああっ!?…3倍だあ!?」
あの大鉈で約2m。その3倍です。
「はっきり言って持ち運ぶだけでも…邪魔なのよねえ…」
「…そうだな…サーチとエイミアだけでも目立ってしょうがないのに…これ以上は御免だぜ…」
悪かったわね。
「それに“死神の大鎌”は有名過ぎるからねー。持ってるだけで町に入れないでしょうね」
「まっったく良いとこがないな」
「そうなのよ…」
…て。よく考えてみれば、それ以前の問題だった。
「…私達さ、優勝したつもりで話してたわね」
「…そうだな。まだ優勝もしてない段階で話すことじゃなかったな」
さすがにムリだしねえ…。
「そう考えたらなんか気が楽になってきたな…ふああ…気持ち良くて眠い…」
「…そうね、眠たくなっちゃうわね」
「…」
「…リル?」
「……zzz」
ホントに寝てるし。
「すいません、リルのマッサージを激痛コースでお願いします」
「いいんですか?」
マッサージ師の人は苦笑いしながら聞き返してきた。
「構いません」
「わかりました…えい」
「zzz…いっっってえええええええっ!!!」
「まだ背中の筋肉が悪いみたいですね…やあ」
「いっっぎゃあああああああ!死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅぅぅ!!!」
「ゆっくり治してもよかったんですが…お元気そうですので一気に治します…よいしょ」
「にゃあああ!にゃあにゃあにゃあ!に゛ぃやあああああああああああああ!!」
うわ…痛そ。
「サーチ様はどうされます?」
そうね…そろそろ戦闘に参加できないのもイヤになってきたとこだし。
「私もリルと同じので。完全に治っちゃうんならもっと痛くても構いません」
「…いいんですか?」
「ええ。おもいっきりやっちゃってください」
「…わかりました…ふぬ!」
おっ!なかなかね。
「え?痛くないんですか?」
「まーだまだ大丈夫よー」
「うぬ!?な、ならこれなら!」
「おー」
「くぅ!?これでどうだ!」
「…うー」
「ぐぬぬぬぬ!ならば禁じ手を!」
「…あーうー…てどこ触ってんのよ!」
「おぼおっ!」
「…痛いニャア…」
あらら。リルは完全にノックアウトね。
「でもかなり回復したでしょ?」
「回復したかなんてわかんねえよ…」
「そう?私は完全復活って感じだけど?」
「ていうか痛くないのかよ!?」
「そりゃあ痛いけど…」
んっふっふ。
私はこれぐらいの痛みなら耐えられるのよ~。
一応元アサシンの私は前世で「なんでこんなクソ痛い訓練なんかやらなきゃなんないのよ!」と言いたくなるような訓練を受けてきたのだ。
そしてこの世界で培った新たな重装戦士としての経験とスキルが、前世のアサシンの経験と組み合わさっていく。
その結果、痛みに対する耐性はさらに強くなったのだ。重装戦士は元々打たれ強い職業だからね。
「こういうのは慣れっていうか…まあ気の持ち様ね…」
「気の持ち様で何とかなるのかよ!」
「なるわよ」
私があっさり答えるとリルは口をパクパクさせた。
「だから私は迷宮食らいの攻撃で死ななかったのよ」
…普通ならショック死するレベルだったからね。
「……呆れて物が言えないって言うけど…こういう事か」
そしてリルは呟いた。
「極めるってこういう事なんだな」
極…める。
その言葉が。
私の中で響き渡った。
「極める…極めたのかな?」
もしかしたら。
≪絶対領域≫の習得条件って。
…「極める」だけじゃなくて…。
…「混ぜる」ことなんじゃ…?
『サーチ達は何かしら荒事を引き寄せますね…』
とりあえずニーナさんに報告をしてギルドで対策を検討してもらうことにした。
「そうよね~…仲間にハイエルフの女王はいるわ、“三冠の魔狼”に番認定されるわ、果てには魔王ソレイユと友達になるわ…」
ついでにエイミアの聖剣には元最高神もいる。死にかけだけど。
『…強運と言うべきか凶運と言うべきか迷いますが……あ、すいません。対策会議が始まるようですので一度席を外します』
「わかったわ。結果は教えてね」
『わかりました。では』
…ホントは教えちゃマズいんだろうけど…。その辺りは意外と融通が利くのよね…全くありがたい。
「リジー、欲しいのは普段のあんたの態度や物欲しそうな視線で充々分にわかったからさ。おとなしくしてなさいよ?」
「良い子にしてる」
良い子って…幼稚園児かっつーの!
「……あんた何歳よ……」
「正式にはまだ0歳」
…そう言えばそうだったわね。
「おいサーチ…露天風呂に浸かってやることかよ…」
え?
前世でも風呂にスマホ持ち込んでたから全然違和感無くやってたけど…。
「…変?」
全員頷いた。
「…つーかよ。風呂に水晶玉持ち込んでブツブツ独り言言ってるヤツ…関わりたいか?」
…イヤです。
そう言えばニーナさんも「湯気で視界が悪いですね」とか言ってたわね。
「ん…やめる…」
…今さらだけど周りの痛い視線に気付いた。
風呂の後に私とリルはマッサージをしてもらうことにした。小まめに治療をしてるけど、完治まではあと少しらしい。まあこれはリフレッシュも兼ねてるので時間をかけている。
エイミアとリジーは遊びに行った。2人してピンポンにハマっているらしい。
「しかし“死神の大鎌”を賞品に出してきた意図がわからねえな」
まったくだ。
装備することなんて当然ムリだし、売ろうとしても値段はつかないだろうし、持ってても重いだけだし…。
「…そうよね…正直優勝賞品というより厄介モノを押し付けられる、て感じだし」
なんせ曰く付きを越えた悲惨な伝説付きだからねえ…。
「でもマーシャンの話だと呪剣士は問題なく装備できるんだろ?もしそうならリジーの大幅な戦力アップになるぜ」
…ハアアアア…。
ホントにそうならありがたい限りなんだけどね…。
「私も最初はそう思ってたのよ…ただ大きさがねえ…」
「…そんなにデカいのか?」
私はリジーが置いていった“首狩りマチェット”を指差していった。
「あれの3倍」
「はああああっ!?…3倍だあ!?」
あの大鉈で約2m。その3倍です。
「はっきり言って持ち運ぶだけでも…邪魔なのよねえ…」
「…そうだな…サーチとエイミアだけでも目立ってしょうがないのに…これ以上は御免だぜ…」
悪かったわね。
「それに“死神の大鎌”は有名過ぎるからねー。持ってるだけで町に入れないでしょうね」
「まっったく良いとこがないな」
「そうなのよ…」
…て。よく考えてみれば、それ以前の問題だった。
「…私達さ、優勝したつもりで話してたわね」
「…そうだな。まだ優勝もしてない段階で話すことじゃなかったな」
さすがにムリだしねえ…。
「そう考えたらなんか気が楽になってきたな…ふああ…気持ち良くて眠い…」
「…そうね、眠たくなっちゃうわね」
「…」
「…リル?」
「……zzz」
ホントに寝てるし。
「すいません、リルのマッサージを激痛コースでお願いします」
「いいんですか?」
マッサージ師の人は苦笑いしながら聞き返してきた。
「構いません」
「わかりました…えい」
「zzz…いっっってえええええええっ!!!」
「まだ背中の筋肉が悪いみたいですね…やあ」
「いっっぎゃあああああああ!死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅぅぅ!!!」
「ゆっくり治してもよかったんですが…お元気そうですので一気に治します…よいしょ」
「にゃあああ!にゃあにゃあにゃあ!に゛ぃやあああああああああああああ!!」
うわ…痛そ。
「サーチ様はどうされます?」
そうね…そろそろ戦闘に参加できないのもイヤになってきたとこだし。
「私もリルと同じので。完全に治っちゃうんならもっと痛くても構いません」
「…いいんですか?」
「ええ。おもいっきりやっちゃってください」
「…わかりました…ふぬ!」
おっ!なかなかね。
「え?痛くないんですか?」
「まーだまだ大丈夫よー」
「うぬ!?な、ならこれなら!」
「おー」
「くぅ!?これでどうだ!」
「…うー」
「ぐぬぬぬぬ!ならば禁じ手を!」
「…あーうー…てどこ触ってんのよ!」
「おぼおっ!」
「…痛いニャア…」
あらら。リルは完全にノックアウトね。
「でもかなり回復したでしょ?」
「回復したかなんてわかんねえよ…」
「そう?私は完全復活って感じだけど?」
「ていうか痛くないのかよ!?」
「そりゃあ痛いけど…」
んっふっふ。
私はこれぐらいの痛みなら耐えられるのよ~。
一応元アサシンの私は前世で「なんでこんなクソ痛い訓練なんかやらなきゃなんないのよ!」と言いたくなるような訓練を受けてきたのだ。
そしてこの世界で培った新たな重装戦士としての経験とスキルが、前世のアサシンの経験と組み合わさっていく。
その結果、痛みに対する耐性はさらに強くなったのだ。重装戦士は元々打たれ強い職業だからね。
「こういうのは慣れっていうか…まあ気の持ち様ね…」
「気の持ち様で何とかなるのかよ!」
「なるわよ」
私があっさり答えるとリルは口をパクパクさせた。
「だから私は迷宮食らいの攻撃で死ななかったのよ」
…普通ならショック死するレベルだったからね。
「……呆れて物が言えないって言うけど…こういう事か」
そしてリルは呟いた。
「極めるってこういう事なんだな」
極…める。
その言葉が。
私の中で響き渡った。
「極める…極めたのかな?」
もしかしたら。
≪絶対領域≫の習得条件って。
…「極める」だけじゃなくて…。
…「混ぜる」ことなんじゃ…?
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