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第七章 砂漠で一番のDになれ

第十六話 説明回説明回説明回…!整合性だけで腹一杯!…なんですよね…

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「あれ…?真リディアと偽リディア?」

 「偽リディアじゃねえ!」

をを!?男の声?
ちょっと不思議な声変わり的ボイスだぞ?

 「えっと…どっちがリディア?」

…どちらも手を上げない。

 「…じゃあそれぞれの名前を言って!」

すると偽リディアのほうが。

 「俺はルーデルだ」

と名乗った。ただ、真リディアのほうがイマイチ反応が薄い。

 「…もしもーし。あなたはなんて名前?リディアでいいのかな?」

 「…私は名前が無かった」

 無かった?

 「じゃあ今は名前あるの?」

 「だから名無しだった!」

だった…?過去形よね…。
あー!! 

 「元の・・リディアだ!」


 「偽リディアじゃなくてルーデル!これはどういうことよ!?」

 「知るか!身代わりの像使ったら俺の前に俺が…ええっと元の・・俺が立ってたんだよ!」

…ていうかあんた…。
 元々女の子っぽい顔だったのね…見た目は女の子にしか見えない…。

 「ルーデル…男よね?」

ルーデルが顔を真っ赤にする。
あ、怒った。

 「あったりまえだろがあ!!」

 「わかったからでっかい声ださないで!…あんた何歳いくつなのよ?」

 「一応17だよ…だけど今は…そうだな…13~14くらいの時の体格だ…」

 「ちょっとゴメンねー…ふむふむ」

するとソレイユが割り込んできた。

 「そっちの名無しちゃん。あんたさ、何らかの記憶ある?」

 「…サーチ達と旅をしていたくらいまではわかる」

…パンドラーネの時ね。

 「じゃあ…ルーデルだったかな?あんたは?」

 「全部ある。前の姿のときも、前の前の姿のときも」

しばらく考え込んだソレイユはリディア…じゃなくて名無しか…に手をあてた。

 「聖術…≪呪い探査≫」

 名無しを淡い光が包む。
その状態が2、3分続いて…。

 「…わかったわ」

ソレイユが説明してくれた。

まずはルーデルの若返りの件。

 「簡単に言うと呪いの反動ねー」

 反動?

 「難し~く理論的に証明すると長いから省くよ。呪いがありすぎて身代わりの像の許容範囲を越えちゃって…仕方ないからルーデル君の歳月を燃料・・にして乗りきったのよ」

 「俺の歳月を燃料って…意味わかんねえよ…」

 「それを説明するのが大変なの。3日くらいぶっ通しになるけど聞きたい?」

 御免被る。
ルーデルも激しく首を振って拒否した。

 「まあ…ちょこっとだけど人生やり直してみなさいな。滅多にできることじゃないわよ」

 「おまけに女の子にもなったことがあるなんてルーデルくらいよ…ププ…」

 「サーチてめえ!笑ってんじゃねえ!」

その顔じゃ怒っても怖くないわよ。

 「さ・あ・て。次は名無しちゃんなんだけどね~」

ソレイユはあっけらかんと言い放った。

 「濃縮した呪いが…意思を持ったみたいね・・・・・・・・・・

 「「「「…は?」」」」

 呪いが…意思を持つ?

 「あ、あり得るの…?」

 「あり得るから名無しちゃんがいるの」

…固まったままの私達を尻目にソレイユは説明を始めた。

 「奇跡って言えば奇跡なんだけど…簡単に言えば偶然の積み重ねが原因ね。『元男の身体』『祝福と呪いが変に入り雑じった状態』そして最後に『身代わりの像』てとこかな。これだけ集まって交わってボンッ!…まあ意思が芽生えてもおかしくないわ」

うーん。よくわからん。

 「つまりは…アリがゾウに勝っちゃった的な?」

 「………まあそれぐらいの確率ね」

なるほど。
それじゃあ身体は…どうやって分かれたの?

 「…その…名無しの身体はどうなってるの?」

 「え?そのまんまよ。ルーデル君の身体の方が特殊なの」

は?

 「まあ簡単に言うとね、名無しの身体にあったルーデル君の魂は身代わりの像に吸収されたの」

へ?
なんで身代わりの像に?

 「ルーデル君の魂にあった身体の情報を元に身代わりの像が変形・・して…」

 「…ちょっと待ってちょっと待って!よくわかんない。なんで身代わりの像がルーデルの身体に変形するのよ!?」

 「ああ、そこからなのね。身代わりの像はステータスの初期化だけが能力じゃないのよ。身体を持たない魂の寄り処となる身体を形成する…それが本来の能力。ステータスの初期化なんて副次的なものよ」

なんですとー!!

 「何故か知られていないのよね…と言っても身体を形成できる段階まで行ける魂はこれまただから…」

 「ねえ…身代わりの像に吸収されて、身体を形成できなかった魂はどうなるの?」

 「ん?消滅~」

 軽く言うなー!

 「…確率的には?」

 「そうね~…バクテリアが恐竜に勝っちゃったくらい」

 今日はどんだけ奇跡の大安売りなのよ!
 宝くじが何回当たるのやら…。

 「…すごいわね…奇跡のオンパレードよ…」

…ホントなら身代わりの像のステータス初期化でルーデルが男に戻って終わりのはずだったのに…。

 「呪いと祝福が交じるとろくなことないからねー」

…そうみたいね。

 「ルーデル…マジで祝福の装備は禁止ね」

ルーデルは激しく頷いた。
…下手したら魂消滅だったんだからムリないか…。

 「じゃあ元々のルーデルの身体を名無しの魂が乗っ取っちゃったわけ?」

 「乗っ取っちゃったというよりルーデル君の魂がいなくなったことで、取り残された名無しの魂が身体になじんじゃったのよ…あーややこしい」

 確かにややこしいわ!

 「てことは…この名無しは生まれたてってこと?」

 「んーん。たぶんルーデル君の記憶とか呪いの武器に染み込んでた因縁が入り雑じって記憶を形成してると思うよ」

 「そうなの…?ならテスト。あんたが装備してた呪いの武器全部答えなさい」

 名無しはスラスラと答えた。
しかも呪いの武器の細々とした所以を解説付きで。

 「…いや、呪いの武器の所以なんか知らないし…」

 「すごい。全部当たってるよ…」

 魔王様のお墨付きキターーー!!!

 「アタシも推測でしかなかったんだけど…」

 「…それで『だった』の口調は直ったのね…」

 「…完璧じゃなかった…と思う

「おい。それよりも」

リルが口を挟む。

 「リディアが2人になっちまったのには変わりないわけだ…どうすんだよ」

…あ。


 「このままパーティにいたい」

ルーデルの希望は残留だった。

 「…もしかしてサーチと離れたくないんですか?」

 「ち、ちげーよ!俺は一族の長を継ぐ立場にあったんだ。けど女の子になっちまった時点で弟に後継者の立場を譲ったからな…今さら帰っ」

 「あー!!そうだったそうだった!言い忘れてたよ」

 「何、ソレイユ?」

 「ルーデル君。歳月を使われた話はしたけどね…また繰り返す・・・・・・ことが重要なの」

…は?
また意味のわからないことを…。

 「だからね…ルーデル君の今の年齢から実年齢までの期間に起きたこと…なるべく繰り返して・・・・・

 「はああああっ!?」

 「ルーデル君の歳月を消費した影響で若返りが起きた…ここはいいよね」

 「…ああ」

 「でもそれはね、世界の流れから逆行したようなもの…だからこのままだと世界の修正をうける」

 世界の修正?

 「…つまり?」

 「たぶん…また女の子に戻る」

………あらら。

 「あの~…話を聞くかぎり…防げるんですよね?」

 「まあね~。ルーデル君自身に強く記憶に残った出来事だけでいいの。なるべく忠実に再現してくれればいいよ」

 「…てことは、だ。14歳の頃に剣術を習い始めてるけど…そういうことか?」

 「そうね…同じ先生にまた入門すれば」

 「もう亡くなられてる」

 「…だったらその先生と親い人に習えばいいわよー。完全に忠実じゃなくてもいいから」

すんげーめんどくさいわね。

 「く…だが…仕方ない。やるだけやってみる」

 「まあ17歳まで変化がなければ無問題よー。確実に大丈夫とは言えない方法なのはごめんね」

 「……いいさ。もう一度だけチャンスを貰えたと思って頑張ってみる。ダメだったら…諦めるさ。死ぬわけじゃないしな」

 「まあねー。命にかかわることは無いし」

 「…つーわけだ。お前らともう少し冒険してみたかったが…すまねえが離脱させてもらう」

 「…まあ、しゃあねえな。3年くらいか?頑張れよルーデル」

 「私も応援してます。3年たったらまた冒険できます…よね?」

 「ああ。3年たったら復帰させてもらう」

 「ルーデル」

 「ん?なんだ?」

 「…私にできることがあったら…何でも言ってね」

 「!…お、おう…」

…何か私らしくないなあ。
でも…何かしてあげたい。

 「サーチもついに春がきたか…」

 「サーチ!素直な気持ちが大事ですよ!」

ごすっごすっごすっ

「い、いってえ…」

 「うぅ…八つ当たりしなくてもいいじゃないですか…」

 「バカ。八つ当たりじゃないわよ」

 「「はあ?」」


ツンデレよ…たぶん。 
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