上 下
102 / 357
第七章 砂漠で一番のDになれ

第十四話 小難しい創世記をわかりやすく解説…できてるといいんですよね…

しおりを挟む
この世界にも魔王がいるということは、反対の存在…神様も当然いた・・・
この世界の神様はただ一人。名前は“知識の創成”アカデミアという。生物に知恵を与えて文明を築いた神様だと言われている。立派だと思う。
そして特に優れた知性を示した10人の霊長類に「更なる知識」と「聖術」と「白い翼」を与えた。やがて天使と呼ばれるようになった10人にこの世界の管理を命じたのだ。
だけどこの頃から“知識の創成”アカデミアは世界に関心を持たなくなり、貪欲なまでの知識欲に支配されるようになった。
この辺りから立派という言葉が抜け落ちだした“知識の創成”アカデミアは世界の管理を天使に丸投げした。
 一方天使に選ばれて世界の管理を押しつけられた形となった10人は奔走した。だけど人間や亜人の対立、紛争、そして全面戦争へと流れが傾くなかで天使達も対立するようになってしまった。
やがて地上では人間と亜人の間で和睦が成立し平和な時代が訪れる。しかし天使の対立は激化し、ついに天使同士の戦いへと発展した。
 各天使は自分自身を崇める人間や亜人をかきあつめて自らの軍を組織して戦いに参加させた。後の歴史家から無意味戦争センスレスと言われたこの戦いは人間と亜人だけではなく細かな人種同士の対立を煽る結果となり…今現在まで続く混沌としか世界の原因ともなった。
そんな中で3人の天使が現状を憂い“知識の創成”アカデミアに事の次第を訴えた。しかし知識にしか興味を示さない“知識の創成”アカデミアは「神である自分に楯突くとは何事だ」と突っ張ねた。更にいい募る3人に対して“知識の創成”アカデミアは激怒し、「白い翼」を黒く塗りつぶして追放したのだ。
この3人が「堕天使」と言われてる。
…後に現れた魔王によって“知識の創成”アカデミアと残りの天使達は滅ぼされることになる。一説では3人の「堕天使」達は魔王に力を貸していた、と言われる。
3人はそれぞれ「光明」「真鉄」「繁茂」の名を魔王から与えられた…らしい。


…めちゃくちゃ長い創世記を簡単にするとこんな感じなんだけど…。

 「魔王様しつもーん!」

 「魔王じゃなくてソレイユでいーよー。はい何ですか?」

 「創世記にある『魔王から与えられた名前』のくだり何ですけど…」

 「あーそれ違ってる。名前つけたのは魔王アタシじゃないもん」

 「じゃあ誰が?」

 「…思い出したくもないけど“知識の創成”アカデミアよ」

…とことんイタい神様ね。

 「じゃあ…魔王が“知識の創成”アカデミアを滅ぼしたってのは…」

 「アタシが気に入らないからって“知識の創成”アカデミアが天使達連れて寝込み襲ってきやがったのよ。それを返り討ちしたんだけど何か?」

とことんダメだな“知識の創成”アカデミア

 「…ソレイユ様以外の堕天使は?」

 「えーと…まあ言っちゃってもいいか。光明と繁茂は堕天使じゃないよ」

 「え?」

 「翼を黒く塗りつぶされてすぐに消滅しちゃったからね」

…あらら。ずいぶんと違うわね…。 

 「私はもともと真っ白じゃなかったから耐性があったみたいでさ…片方の翼が溶けた・・・だけですんだのよ」

 「じゃあソレイユ様一人で“知識の創成”アカデミアと天使をぶっ飛ばしたと?」

 「ぶっ飛ば…あははははは!あんたホントに面白いわね…!そうよ、私一人で殺ったよ」

「 “知識の創成”アカデミア弱!」

 「そりゃそーよ…ひきこもりだから体力ないし力もないし」

…神様のイメージが…。
“知識の創成”アカデミアじゃなくて“食っちゃ寝”ヒキニートに改名したほうがいいのでは…。

 「あの~魔王様じゃなくてソレイユ様?私も質問していいですか?」

 「………ふんだ!」

 「ええっ!?…サーチぃ」

 大人げないな!

 「わ、私だってリルだって負けてますから一緒ですよ!」

 「いーじゃないあんた達は!アタシなんか成長したくても…もうできないの!そこのニャンコはともかくサーチだっけ?あんたはまだ可能性あるじゃない!」

 「なんで私は除外されるんだ!!私だってまだまだ大きくなるさ!」

 「………ふっ」

 「がああ!このクソ魔王!鼻で笑いやがったな!降りてこいコラ!その大根・・2本ぶっこ抜いてやる!」

あ。ソレイユ様固まった。

 「大根…2本…」

…知ーらない。

 「そこのニャンコ!」

 「ニャンコ言うなあ!」

 「…細くできるの?」

はい?

 「な、なんだよ…」

 「細くできるの?どんなエクササイズ?あんた綺麗な足してるじゃない?どうやってるの?教えて教えてねえねえねえ」

 「………おう」

…リルが詳しく解説してる隣で。

 「うぐううう…!」

リディアが打ちひしがれていた。

 「どうしたの?」

 「俺が…俺が…信じてきたことは何だったんだ…」

…そうよね。
 今まで信じてきた神様が…実際は部下の寝込み襲って返り討ちにあった“食っちゃ寝”ヒキニートだってわかれば…ショックよねえ。

 「…改宗してやる…」

…この中で一番まともなのは…たぶんリディアだ。


 「…で、こうすれば…」

 「ああ!?なるほどー!目ウロだわー!」

 「…?…サーチ、目ウロって何だ?」

たぶん目からウロコの略語かと。

 「ありがとうねニャンコ!今日から実践するわ!」

 「だからニャンコじゃない!」

 「じゃあニャンコ先生!」

 「もっっと悪いわあああああ!!!」

…何はともあれ。
ニャンコ先生リルのおかげで私達の印象は最大限までアップし。

 「“賢者の杖”マスターロッドと“身代わりの像”ね。いいわいいわ持っていって!」

…あっさり交渉成立となった。


そして。

 「それとエイミアライバル!必ずあなたを超えてみせるわ!覚悟しときなさい!」

あんた成長しないんじゃなかったのかよ!?

 「それと…勇者エイミアに与えたい物があります」

そう言ってデュラハーンに何かを取りに行かせた。
しばらくしてデュラハーンが持ってきたのは一振りの剣だった。
デュラハーンから手渡された剣を片手にエイミアは戸惑っていた。

 「こ、これって…まさか…」

 「そうです。“知識の聖剣”アカデミア。伝説の剣…ていうヤツね」


…今となっては“食っちゃ寝”ヒキニートと同じ名前の武器ってだけで価値が下がるわね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

【完結】番を監禁して早5年、愚かな獣王はようやく運命を知る

恋愛
獣人国の王バレインは明日の婚儀に胸踊らせていた。相手は長年愛し合った美しい獣人の恋人、信頼する家臣たちに祝われながらある女の存在を思い出す。 父が他国より勝手に連れてきた自称"番(つがい)"である少女。 5年間、古びた離れに監禁していた彼女に最後の別れでも伝えようと出向くと、そこには誰よりも美しく成長した番が待ち構えていた。 基本ざまぁ対象目線。ほんのり恋愛。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後

有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。 乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。 だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。 それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。 王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!? けれど、そこには……。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした

月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。 それから程なくして―――― お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。 「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」 にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。 「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」 そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・ 頭の中を、凄まじい情報が巡った。 これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね? ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。 だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。 ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。 ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」 そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。 フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ! うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって? そんなの知らん。 設定はふわっと。

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

処理中です...