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2.むかしむかし、あるところに
第1話
しおりを挟む<果華村に伝わる桃太郎の話>
昔々、あるところに、鬼ヶ島という島がありました。島といっても、海水が引くと、地続きで本土に渡ることが出来る場所でした。
そこには、傍若無人な行いで近くの村人を困らせる体の大きな“鬼”が住んでいました。
鬼は、肌が雪の様に白く、髪の色は透き通るような輝きを宿し、その瞳は血の様な紅色でした。その儚げな見た目とは裏腹に、鬼たちは、何度も村人の家を襲っては、金目のものや食料をすべて奪っていきました。時には殺しが行われることもありました。村人たちは、鬼を憎み、怖がりました。
「もうこのままではこの村は立ち行かなくなってしまう」
村長のところへ、村人たちの訴えが集まりました。如何したものかと悩んでいる村長に、寄る者がありました。それは、村長の息子でした。何の音沙汰があるわけでもなく、ある日突然、村長夫婦に子どもが出来たので、桃から生まれたとの噂もある若者でした。なんせ、名前が「桃太郎」。野暮ったい名前とは異なり、見目麗しい桃太郎は、剣術にも秀でていました。そして、いつしか村一番の剣客となったのです。
桃太郎は、悩んでいる父親に、こう言いました。
「私が鬼ヶ島にいる鬼を倒してきます」
そう言い残した桃太郎は、イヌ、サル、キジを仲間にして、あっという間に鬼を倒して返ってきました。桃太郎の船にはたくさんの宝があり、それを分け合って村人たちは幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
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