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よ あけを早く迎えたいから立ち位置の違い
しおりを挟むその夜。
左肩をかばいながらも、いつものように、身体を重ねる。
「っ、は……あ、んっ」
俺の動きに、気持ち良さそうによがる瑠衣を、じっと見下ろす。
「晋作………?」
行き成り動きを止めた俺に、瑠衣は、涙目で息を切らしながら、こちらを伺う。
「なあ、瑠衣」
そっと、その頬を撫でる。
「お前は、ずっと………俺の傍に、いると、そう誓うか?」
「っ」
その言葉に、彼女はその蒼い目を見開く。
その拍子に、目じりに溜まっていた透明な感情が、ぽろりと零れる。
「俺より先に、死なないと―――俺を、置いて逝かないと、」
「しんさ、」
「そう、約束、してくれるか?」
ああ、馬鹿みてぇ。
本音がぼろぼろと、零れ落ちる。
―――逝かないで、欲しかった。
松陰先生も、久坂も、栄太郎も。みんなみんな、俺を置いて逝っちまう。
俺は、頑張ってきたよな?
願っても、祈っても、神様には届かない。誰も叶えてなどくれない。
俺は―――こんなにも、弱い。
涙が、一粒。
瑠衣の白い肌に、落ちる。
刹那。
「っ」
「だいじょう、ぶ」
瑠衣が、俺を。
ぎゅっと、優しく。
だけど、その存在が認識できるくらいに強く。
腕を回して、抱きしめる。
素肌が、熱い。
鼓動が、重なって、響きあう。
「約束、するよ?―――I promise……」
「ぷろ、みす?」
「約束する、そういう言葉」
そう呟いて、瑠衣は、俺に口づける。
それはまるで――まるで、婚約の証のようで。
ちゅ、と音を立てて触れたその唇に。
想いが―――溢れた。
「好きだ」
「――っ」
「どうしようもなく、好きなんだ」
「晋作―――、っん」
唇を、奪う。舌が絡まって、水音が、響く。
深く深く、責め立てる。
瑠衣の頬が熱くなっていく。息遣いが荒くなっていく。
俺の衣を掴む指が、ぎゅ、と強くなる。
「っは、」
「ん、ふっ」
瑠衣の全てを自分のものにしたくて。
その髪も、肌も、唇も、瞳も。
そして。
その、――――心までも。
ああ、この出逢いに、優しい口づけを。
此れが、運命と―――そう呼べなくても。
喩え、俺が。
お前を、この手の内に収めておくことができなくても。
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