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き ずだらけの俺たちは
しおりを挟む痛みを堪えながら、如何にかこうにか屋敷に辿り着く。
「ってぇ………」
ずるりと玄関で座り込んだ俺に、瑠衣が顔を歪める。
ああ、そんな顔をさせたいわけじゃねぇのに。
俺は、瑠衣にそんな表情しか、させてやれない。
だけど、もう。
もう、――――遅い。俺は、自分の気持ちに、気づいているから。
慌てて手当の準備をする瑠衣を見ていれば、自分が怪我をしたことが事実として身に迫ってきて、ズキンズキンと傷口が痛みを訴えてきた。
「痛いかも、しれない……」
そっと濡らした布を当ててくれる瑠衣に、やせ我慢しようとして、笑う。
だけど、己の口からは、正直に言葉がこぼれ出た。
「痛い」
「――っ、ごめんなさい」
瑠衣は、俺が痛みに身を強張らせると、酷く自分が痛いようにぎゅっと目を瞑って、謝罪の言葉を口にする。
「……いや、別に謝ることはないだろ」
「でも――」
痛そうにしながら、斬られた場所を懸命に手当てしてくれる瑠衣。
その瞳に、うっすらと涙の膜が張っていて。
ぐ、と唇を噛み締めたその横顔に、心が動かされる。
あー、早く抱きてぇな。
そう思いながら、じっと欲望を堪えていた。
布を巻き終わって、漸く瑠衣を腕の中に閉じ込められると思った時。
ぽつり、瑠衣が言葉を落とす。
「如何して、貴方は……私如きに」
「は?」
私如きだなんて――言うなよ。
お前が、自分で言うなよ。
それを言っていいのは―――俺だけだろう?
「お前は、俺のだろ」
「っ」
「俺のものを、俺が――――必死で護って、何が悪い?」
馬鹿みてぇ。
そんなの、俺だって知ってる。
だけど、もう。
お前は、俺の中にいるんだ。片時も、離れることなく。
何時だって、思考の何処かを支配していて。
笑顔も、泣き顔も、頬を赤らめた顔も、苦痛に歪む顔も、恍惚とした表情も全部。
全部が、俺を縛り付けているんだ。
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