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も しも世界中の人々が
しおりを挟むその女との出逢いは――最悪のタイミングだった。
おれが丁度、倒幕の意思に長州一帯を固め始めた、その最中だった。
粛清されそうになり、逃げまくり。
漸くもう一度長州に戻ってきた。
勿論、命懸けで戻ってきたのには、理由があった。
藩を倒幕一色に纏める。それを成し遂げるために、俺はこの地に戻ってきた。
倒幕にするにあたって、俺は何をしたのかって?
藩の人に呼び掛けた。それだけ。
「我こそは、と思う者は集え!!」
期限を決めて、その場に集合するようこそこそと触れを出したのだ。
「高杉さん~、これ、大丈夫なんですよね……?」
「大丈夫かなんてしらん」
「はぁぁ!? あんた、自分が何者か分かってんですか!? この場所に誰かが幕府恭順側のやつを連れてきたら終わりですよ!?」
弟分の伊藤俊輔は、びくびくと怯えながら。
だけど、何時でも、俺の傍にいてくれる、そして俺を叱り、励ましてくれる――そんな男だった。
約束の日。
恐怖で震える伊藤とともに、俺は約束の場所へ向かった。
そこには。
「高杉さん! 待ってました!!」
「戻ってきてくれたんですね!」
そう、温かい声をかけてくれる、長州男児が、80名ほど。
まさか、これほど集まるわけはないと思っていた俺は、驚きに目を丸くした。
「高杉さん…………!」
伊藤も横で、歓喜に打ち震えている。
自分の中で、何かが。
音を立てて、色付いてく、そんな気分になった。
「これよりは!!!!」
叫ぶ。
想いのままに、言葉を零す。
「長州男児の腕前、お目に懸け申すべく!!!!」
うぉぉぉぉと、士気の高まる俺たちは、そのままのノリで何と。
80人対2000人。
この命知らずの馬鹿げたクーデターを、成功させた。
それにより、長州藩内は倒幕一色に染まる。
その頃の事だった。俺が、あの女に出逢ったのは。
「高杉様……」
「あ?」
俺が屋敷で座っているだけのところに、ちょこまかと歩いてくる人達が多くなった。
それは、皆、今まで恭順側についていた人だった。
自分達に歩がない―――そう思った幕府の犬どもは、途端に旗を翻して、俺に縋るようになったのだ。
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