ただ儚く君を想う 弐

桜樹璃音

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第4章 歴史と現実

第34話

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「沖田」

「はっ、はい!」



目の前で起きたドラマのような展開に呆けていたら、芹沢さんに名字を呼ばれた。



「お主、いつまでここに居るつもりだ?」

「あ、す、すみません……!」



その声に、慌てて立ち上がった。



「夕餉の時間だろう、さっさと行って準備して来い」

「は、はいっ」



2人の傍をすり抜けて、勝手場に向かえば、そうちゃんや平ちゃん、左之さんに新八さんが配膳をしてくれていた。



「璃桜! 遅ぇぞー」

「ごめんなさい!」

「飯だ飯だー!」



いつも通り騒がしくご飯をかっ込んでいる平ちゃんとそうちゃんの横に座れば、



「璃桜、平気か?」



と言いながら、左之さんが私の隣に胡坐をかいた。



「あ、……ありがとうございました」

「いや、お互い頑張ろーな」

「左之さん! 何璃桜と内緒話してるの!」

「平助にゃあ早ぇよ。な、璃桜?」

「ええ!? んなことねぇよ! 教えろよ!」



くすくすと笑いながら過ぎていくあたたかな時間に、何故だか世界がジワリと滲んだ。



「……っ」



緩みすぎた涙腺と、笑いが止まらなかった所為にした。




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