ただ儚く君を想う 弐

桜樹璃音

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第4章 歴史と現実

第1話

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「璃桜~」



朝。
きらきらと差し込む日差しなんて、見えない。

心配そうに声をかけてくる人が誰なのかなんて、如何でもいい。



「………」



センセイ。
如何して、歴史通りに、先生が死ななくちゃならないの。

無理だよ。
私じゃ、先生の真意に近づくなんて、できないよ。



「なんか食べないと、死んじゃうよ……」

「ほら璃桜、起きて……」




置いていかないでよ。
もう一度、私に教えてよ。

如何したら、歴史を変えられますか。

もう、誰も、死んで欲しくなんてないのに。



「……ダメだこれ」

「………ゆっくり休ませたほうがいいって」

「2日間も布団から出ないなんて、絶対なんかあったんだよ」



そんな声が、遠ざかっていく。

ああ、私、また迷惑かけてる。

ダメだな、本当。

そう思った。

どたどたと部屋の外から、喧噪がする。



「うわ、土方さ、」

「おかえりなさい、でも、璃桜こんなんですよ」



誰かが帰ってきたのだろうか。

そんなことを思った途端、ぐっと力がかかる。



「おい璃桜!」



身体を、起こされる。

頬に、熱を感じる。



「佐伯と何があった!?」

「……え?」



その声に。

2日間つかっていなかった目の焦点を、漸く、使う。

私の頬に掌をあて、じっと泣きそうな表情で私を見つめているのは。



「……としぞ?」



貴方は、漆黒を揺らして、こちらの瞳を覗き込む。

貴方に、呼ばれて。



「……璃桜」

「……歳三」



やっと、戻ってくる。

世界の色が、つき始める。

温もりを、感じ始める。

同時に、冷たさも。




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