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第2章 大坂出張
第23話
しおりを挟む「今日は祝杯じゃーーーーーーーい!!!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
その日の夜。
無事に出張から帰って来れたことをお祝いする、宴が開かれた。
「璃桜さん、お疲れ」
「あ、ありがとうございます」
だばだばと注がれたお酒をどうにもすることができずに、湯呑みを手のひらで支える。
少しは仕事が増えたとはいえ、壬生浪士組は相変わらずの貧乏なので、いつも、湯呑みでお酒を飲んでいる。
それにしても、と眉を顰めたくなる。
この時代のお酒って、本当に美味しくない。
一度だけなめてみたことがあるけれど、本当に濃くて、喉が熱くなった。
私は甘いカクテルとかじゃないと駄目らしい。
そんな事を考えていたら、ぽん、と背を叩かれた。
「お疲れ様です!!」
「……わ、ありがとうございます」
いつも稽古をつけている隊士たちからもねぎらいの言葉をもらって、なんだかむずがゆくなる。
「いやぁ、でも、本当に璃桜さんと沖田隊長が入れ替わっていたことに気づかなかったなぁ」
「おう、同じ男同士の双子ってやつは、凄いんだな」
そんな会話が聞こえてきて、冷や汗がたらりと背を滑り落ちる。
今はまだ、皆のことを騙しとおせているものの、この先どうなるのだろうと思う。
もし、今ばれたら?
飲み会→女:男=1:不特定多数→……………。
そんな想像をして、1人体をちぢこませていたとき。
「り~お~」
「わ」
緊張していた体に、どん、と衝撃が走り、ぐらりと湯呑みが傾ぐ。
「わ! っと、」
いつもの瞬発力が出て、間一髪でキャッチして、衝撃の原因を冗談半分で睨みつけた。
「ふへへ」
にやけた顔を赤くしてゆらゆらしているのは平ちゃん。
「酔っ払いめ」
「まぁ、そう言わずに」
滝のように飲んでいるのに素面のようなそうちゃんが、正反対の平ちゃんと仲良くタッグを組んで私の横を取り囲む。
「飲んでくださいよ、璃桜さん」
意地悪な笑みを浮かべてお酒を注ごうとするそうちゃん。
こいつ、立ち悪い。
「いや」
私飲めないんだって、と拒否するも反対側から絡まれて。
「もう~にげばは~ないぜ~」
歌うように言って、私から奪い取った湯呑みめがけて酒瓶を傾ける。
「ちょ、まって、ほんと、」
無理――その言葉は、喉の奥に引っ込んだ。
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