ただ儚く君を想う 弐

桜樹璃音

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第2章 大坂出張

第21話

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「齋藤さん、左之さん」

「何だ?」

「如何した」

「……ずっと一緒にいてくださいね」



するりと口から零れ出た言葉に。



「…………」



齋藤さんは、何故か絶句し。



「うぉ、璃桜………!!」



左之さんは、飛びついてきた。



「うきゃ」

「この可愛いやつめ~!」

「ちょ、さのさ、、、!」



大柄な左之さんに、頭を撫でられて、ぎゅっと押しつぶされる。



「おい、左之! 大丈夫か、璃桜」



騒ぎに気付いて新八さんも駆け寄ってきてくれて。



「おい、璃桜がつぶれるだろう」



芹沢さんも、何故だか足を止めてくれる。

そうやって、皆に気遣われて。
皆に、気にしてもらえて。

私は、なんて幸せなんだろう。



「……だいすき」



そんな、皆のことが大好きなんだって。
また、実感、した。




相変わらず、大坂と京都間は酷く遠くて、私にとっては辛いものもあったけれど、無事、屯所に着いて、門をくぐった。



「璃桜~~~~」



その瞬間、大きく私の名を呼んで、ばっと抱きついてきたのは。



「璃桜がいねぇなんてたえらんねぇよ~。何で言ってくんなかったんだよ!!!」



下唇を盛大につきだした平ちゃん。
後ろから、慌てたようにそうちゃんが飛び出してきた。



「うわ、平助! 何してんだよ!」

「あ!? 総司はあっち行ってろ」

「なんだよ! さっきまであんだけ優しかったじゃない」

「うるせぇ!」



どうやら、先ほどまで平ちゃんはそうちゃんと私が入れ替わっていることに気が付かなかったらしい。



「こんなに平助が優しくしてくれるなら、俺ずっと璃桜と入れ替わってようかな」

「はぁぁぁぁ? ふざけんじゃねぇぞ!!!」



軽口をたたくそうちゃんに、そんな事有りえないと言い返す平ちゃん。

ちょっと、声が大きくて、私の耳がおかしくなりそうなんだけど。

そう思っていれば、平ちゃんに飛びつかれたときに私が落とした荷物を抱えて新八さんと左之さんが近づいてきて。



「相変わらず言い合いはしているものの、仲の良さは健在のようで」

「おめぇらちっとは落ち着けや」



二人に冗談交じりに諌められて、むくれる姿までかぶっていて。

やっぱり、楽しい。
ここが、私の居場所だと再確認する。

平ちゃんに抱きつかれたまま、にへら、と笑えば、俺に抱きつかれてにやけてる、と喜ぶ平ちゃんに、むくれるそうちゃん。

その顔を見たら、出かける前のことを思い出して、刀を預かっていたことに気付いた。



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