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第2章 大坂出張
第4話
しおりを挟む「いってらっしゃーい」
「いって、きます……」
その後、私と袴を交換して、髪型も変えたそうちゃんは、にこにこと気持ち悪いほど最上の笑みで私たちを見送っ
た。
平ちゃんは、私とそうちゃんが入れ替わっていることなどまったく気付いてないようで、そうちゃんに優しく話しかけていて。
いつもあんなに優しいっけ。
その様子に、そんなことを再確認して、なんだかこちらが恥ずかしくなった。
「総司! 行くぞ」
「待って下さいよ、新八さん」
門をくぐるとき屯所を見ようとくるり振り返れば、ぱちりと視線が交わった、漆黒の瞳。
その真剣味に、ぞくりと肌が粟立つ。
京から大坂、平成だったらすぐに着くこの距離を移動するだけで、それほどまでに、危険が付きまとうのだと。
漸く、理解する。
でも、大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら、懐の簪と、刀に触れる。
絶対に、無事で帰ってくるんだから。
そう意気込みを込めてにこりと一つ微笑んで、貴方の漆黒との目線を外す。
そして、一歩。
私の知らない世界へと、踏み出した。
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