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第1章 心と気持ち
第3話
しおりを挟む「……平ちゃん、一緒に頑張ろう?」
「あ、璃桜もいるのか、そっか」
そう声をかければ、何故だか瞳がキラキラ輝きだす平ちゃん。
「俺、璃桜といられるなら、いーや」
いやいやいや。
幾らなんでも、単純すぎるでしょ。
その台詞に、がくりと肩を落としたのは何人だろう。
ふと隣を見れば、そうちゃんの瞳が怪しく光ったような気がしたが、気のせいだろうか。
「平助? 璃桜に手ぇだしたらどうなるかわかってるよね?」
「何ー? 聞こえなーい……ぎゃあああ!! ちょ、総司!! 冗談だろーが!!」
おちゃらけようと思ったら、隣にいたそうちゃんにぎりぎりと首に腕を巻きつけられて窒息死しそうな平ちゃん。
周りの人たちはいつもの光景過ぎて、もはや何も反応しなくなっている。
したとしても、苦笑を零すくらい。
「ごほん」
近藤さんが空気を仕切りなおすように、再度咳払いをした。
その音に、はっと姿勢を直す平ちゃんとそうちゃん。
そこで我に返るなら、初めからやらなければいいのに。
「ということだ。これで芹沢さんに話を通してくる。では、解散!!」
近藤さんがそう言ったタイミングで、歳三にちょいちょい、と手招きされた。
「何?」
何かまた用事だろうかと、歳三に近づく。
「今から芹沢んとこ行くから、おめぇも来い」
「え?」
何で?
そう思ったのが、表情に出てしまったみたい。
はぁ、と一つため息をついて、歳三は言う。
「んだよ、その顔」
「だって……」
私絶対に行く意味ないでしょ。
「俺だって璃桜、おめぇを連れてなんざ行きたくねぇよ」
「じゃあ、なんで?」
そう思って眉を顰めて見せれば、歳三は理由を説明してくれた。
「芹沢の奴が、璃桜、おめぇのこと呼んでんだよ」
「え?」
私、何かしたのかな。
あの人から呼び出されるなんて、碌なことがない気がする。
何で呼び出されるのか見当もつかずに、びくついているのが顔に出てしまったのだろうか、歳三はそれを落ち着かせるように笑って。
「お茶出しは璃桜が良いんだと」
「何だ、そんなことか」
それくらいなら、全然かまわない。
こくりとひとつ頷けば、それを合図にしたかのように腰を上げる歳三と近藤さん、山南さん。
「行くぞ」
その声に付いて、前川邸から八木邸へと移った。
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