蝶々結びの片紐

閑話休題

　なぁ、神様、仏様。

　俺はこの時、璃桜に逢わせてくれたのは、俺にとっての褒美だと思った。

　思って、いたんだ。



　この時の俺は、まだ知らなかった。

　璃桜が、俺にとって、どんな存在になるのかなんて、何も。



　その日から、璃桜のことを目で追い続けてきた。



「平ちゃん！！」



　そう言って笑ってくれるのが、本当に嬉しかった。
　ただその笑顔を見れれば、それでいいと。そのためなら、何でもできると。


　そう、自分に言い聞かせて。
　いい、きかせて、きた。


　いつからだろう。



　――……それじゃあ足りなくなっちまったのは。