ただ儚く君を想う 壱

桜樹璃音

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第8章 局中法度

第23話

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………歳三。

貴方が、私に弱い所を見せてくれるのは、如何して?

なんて。

そんな事、考えるのも間違っているのに。

貴方は、なんて意地悪。

こうやって、私に、期待させるの。

けど。


「………歳三」

「……あ?」

「……あのね、」


今はただ。

貴方にこうやって、少しでも安らぎを与えられることが出来るなら。

貴方と一緒に、何かを考えることが出来るなら。

それで、満足。

だから。

周りからなんて言われようと、なんて罵られようと、どんなに嫌われようと。

土方歳三は、壬生浪士組の副長として、責務を全うする。

そんな独りよがりな貴方の、
―――――――小姓で、有りたいと思う。


「…………ずっと、傍にいるから」

「璃桜……」

「歳三の夢、応援するから。一緒に、やるから」


だから、貴方は。

自分自身の“誠”を、目一杯、突っ走ってくれたら、それでいい。

頑張ってる姿は、必ず誰かが見てくれているから。

私は、貴方と、一緒に成長したい。


そう、思う。

今までは、変わってしまうことが怖くて、逃げて、目を逸らしてばかりだった。

けれど。

変わることは、成長するということ。

その成長が積み重なって、人生を紡ぐから。

変わることは、怖い事でもなんでもない。

しっかりと見据えて。

自分で、選んで進めばいい。


「……あたりめぇだ、馬鹿。おめぇは俺の唯一無二の小姓なんだからよ」


掠れた声で、苦笑と共に呟く貴方に、おどけて見せる。


「あは、そうでした」

「……璃桜」


…………絶対に、離れんな。


そう、優しく耳元に落とされた言葉の響きには。

私が望む意味は、何も含まれていない。


だから、甘く、切なく、残酷で。

けれど。
それでも、私は。


「………うん」


此処にいることが許されるのなら。

今日も、貴方の唯一無二の小姓で居続けたい。

私がどうして、この幕末に来てしまったのかなんて、そんなこと神様にしかわからないのだろうけれど。

貴方と一緒に、この壬生浪士組の一員として、今、この時を。


―――――――――生きてゆきます。











弐へ続く




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感想 1

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