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第8章 局中法度
第22話
しおりを挟む原因が分らないから、なんて言っていいか、そんなの分らないけれど。
貴方が少しでも、強くなれるのなら、私は何でもしたいと思う。
だから、私は、当てずっぽうで言葉を落とす。
「………皆、分ってくれてるよ?」
何だかんだ、憎まれ口ばかり叩いていても、私のことを護ろうとしたり、その考えの根底には必ず一つの芯がある。
何かを強く護ろうとする、力が。
鬼になる、そう言っていても、本当の歳三はとっても優しい人だから。
きっと、自分の考えが皆に伝わらないことが、悔しくて、情けないのではないだろうか。
自分の不器用さを、目の当たりにしているから。
けどね。
誰も、貴方の事、間違ってるとか、悪くなんて思ってない。
「局中法度だって、それを決めた貴方の心の内は、きっと皆に伝わってるはず」
「璃桜……」
それだけは自信を持って言えるよ。
だって。
……………私が羨ましく思うほど、
「みんな、仲良しだもの」
「そう、か」
歳三の心の戸惑いが、身体に触れる腕から伝わってくるようで。
「そうだよ、だって、ここは、貴方たちの壬生浪士組だよ」
「ああ、そうだったな」
大丈夫、その気持ちを込めて、深く頷いた。
その様子を、私の後ろで見ていただろう歳三は、眉根に寄った皺を緩めて、その口角を上げる。
「全く、璃桜」
どこか呆れたようなその口調に、目をぱちくりさせる。
「何よ」
「………何で、おめぇには直ぐにばれちまうんだろうな?」
「ん?」
「なんでもねぇよ」
――――だから、俺はもう離れらんねぇんだよ。
歳三が笑いながら零したその言葉の真意は、全く分らなかったけれど。
「ここは、壬生浪士組、か」
やっと思い出せた、そう呟いた歳三は、ぎゅっと私に回す腕に力を込める。
そして、何かを決意したように言葉を落とす。
「なぁ、璃桜」
「ん?」
「俺には夢があんだ」
「…………うん」
「……近藤さんを、武士にするってぇ夢が、な。だから、」
…………こんなところで、こんな素晴らしい好機を逃してたまるか。
そう、私の耳元でつぶやく。
「………俺らの、場所だ」
「……うん」
「近藤さんと、試衛館のみんなと作り上げてきたこの場所を、台無しにされてたまるか………!!」
そう言って、私の肩に頭をのせた。
ぎゅ、と身体にまわされた大きな腕が、私の肯定を求めているようで。
間違ってないよ、そう伝えるために。
その腕を、そっと抱え込む。
どくん、どくん。
互いの心臓の音だけが、互いの耳に響いて。
世界中で、二人きりみたい、だなんて。
陳腐な台詞を、頭に浮かべてしまった。
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