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第8章 局中法度
第8話
しおりを挟む「ふざけるなよ!」
「と、歳………」
「最近は漸く京の町にも慣れてきたってぇのに、こんなところで問題を起こされてたまるか!!!」
近藤さんが抑えようと肩に触れたその手のひらを乱暴に払い、そう一喝して、どすどすとその場を後にしてしまった。
「行っちゃった……」
「土方さん……」
「まぁ、そうですよねぇ」
「そうだよなぁ、歳だもんなぁ」
唖然として歳三を見送る平ちゃんと私とは打って変わって、微笑みを絶やさないそうちゃんに、歯を見せて笑っている近藤さん。
「……あのう」
「何だ?」
「歳三の様子、見てきた方がいいですか………?」
あんなに怒って、また仕事にいら立ちをぶつけるんじゃないかな。
そう心配した私は、歳三のことを一番知っていそうな近藤さんに尋ねたけれど、返答は意外な方向からかえってきた。
「うーん、今はまだいいんじゃない? あと少ししたら見に行ってあげて」
頬笑んだままそう言うそうちゃん。
「そうだな、それが丁度いい」
よくわかってるな、そう、声をかける近藤さん。
如何して?
そう思ったのが顔に出てしまったのか、そうちゃんが苦笑交じりに答える。
「おバカ土方さんには、頭を冷やす時間をあげないと。今言っても意固地になってるだけだからさ」
「そうだなぁ、俺たちはもっとやることがあるからな。ということで、総司、平助、芹沢さんを呼んできてくれないか」
「そうですね。こういう話は早い方がいいですし」
「はーい」
「ついでに、八木邸から持ってくる予定だったものも取って来ちゃいますねー」
言うや否や、二人は立ち上がって外に出ていった。
直ぐにでも八木邸に向かうのだろう。
「………いいな」
気付けば、そんな一言が唇から零れていた。
「ん? どうしたんだ、璃桜くん?」
「あ、いや……」
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優しく大らかに笑う近藤さんの言葉に、つい甘えてしまう。
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