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第6章 泡沫
第7話
しおりを挟む「んで? 総司くんは何をしてたんだよ」
平ちゃんのじと目を受けて、さっきの恥ずかしい出来事を思い出す。
それに伴って、頬が熱を持った。
「ああっ、璃桜赤くなってる!! おい、総司!! 何したんだよ!!」
「うるさい奴だなー。璃桜、行こ」
「置いてくなよ、馬鹿!」
「馬鹿はどっちだよ、馬鹿」
言い合いしながらも賑やかに歩いてゆく二人の後を追って、私も自分の部屋に向かった。
からりと部屋の襖を開けば、文机の間に胡坐をかいて座る歳三の姿。
「ただいまー」
「…………」
「……あれ? 寝てるの?」
返事が返ってこなかったため、膝立ちになり横に回り込んで顔を覗く。
「……こんな早ぇ時間から、寝てるわけねぇだろが」
「……うわっ」
ばっちり眉間に皺を寄せた副長様と目があって、驚いてしりもちをついた。
「いた……」
「……ったく、何してんだよ」
そう言って腕を引っ張り上げてくれる彼の視線は、已然として机の上に固定されていて。
「……何、見てるの?」
「あ? これだこれ」
そう言って、ぺらりと一枚の紙を持ち上げた。
「………」
「おめぇは、どう思うよ?」
そう言われましても。
まず、書いてある字が。
「………読めません」
「は?」
「いや、だから、読めないんだって」
この時代の文字は、現代の字よりもくずれているため、まず読むことなんて出来ない。
この時代の人が平成の文字を見たら、読むことができるのだろうけれど。
つまり、分りやすく言うと。
平成で、崩れた汚い字は読めないけれど、角ばったきれいな字なら誰でも読めるのと同じことだ。
「未来っつーのは、字も習わねぇのか?」
訝しげにそう尋ねてくる彼に、首を振って否定する
「いや、習うよ。読み書きと、計算……算術は、十二歳までくらいには基本は完璧になってるからね」
「じゃあ、何で読めねんだよ」
「いやぁ、それは………」
だって、崩れすぎてて何書いてあるかわからないんだもん。
なんて、言えない。
言ったら最後、鬼副長にここから追い出されそうな気がする。
へどもどしていれば、面倒くさそうに、はん、と鼻で笑った副長様にぐいと腕を引かれた。
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