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第3章 ひとびと
第13話
しおりを挟む「自分の部屋以外なら、何処でも、いい」
斉藤さんの無関心な言葉に、
「璃桜さんが良いなら、どこでも構わないよ」
源さんの私の考えのこと考慮してくれた優しい言葉。
「俺は、反対」
皆が賛成の中で、反対意見を出したのは、平ちゃんだった。
「どうして?」
理由を尋ねた山南さんに、答えた内容は、
「だって、璃桜が土方さんに守られていたら、何も出来ないじゃないですか」
何もって。あなた何する気なの。
…………勿論、その答えに逸早く総司が反応して。
「平助。何するの?ねぇ、何するの」
「何って、……ねぇ?」
「……近藤先生。璃桜は絶対に土方さんの部屋でお願いします。あと、土方さん、言っときますけど璃桜のこと襲ったら斬りますから」
顔を赤らめる平助をがくがくと揺さぶりながら、総司が言った一言で、
…………………私の部屋は、歳三の部屋に決まった。
部屋が決まったので、歳三の所にお邪魔して、荷物の整理を始めた。
歳三の部屋は、近藤さん、山南さんと同じで他の人の部屋より少し大きいらしい。
荷物を入れておく場所は、押入れをあてがわれた。
襖付近に置けば、誰かに見られたら未来から来たってことがばれてしまうから、奥の方にしまっておけ、と不貞腐れた様子の歳三から注意が飛んだ。
その有り難い御進言に従って、ベージュのリュックを布団の奥に仕舞い込んだ。
その時、はた、と気が付く。
「如何して、私が未来から来たって、知っているの?」
「あ?総司も、未来から来たんだろ。あいつの双子だってところからすでにわかることじゃねぇか」
そう言うことか。
その答えに納得して、押入れの襖をぱたん、と閉めていると。
「ったくよー、何でおめぇがこの部屋なんだよ。誰が襲うかこんな餓鬼」
私の隣で、ぶつぶつと文句を垂れる歳三に、イラッときた。
「あのねぇ、私、19歳だから。餓鬼餓鬼って、うるさいわよ」
「………だったら、ここで女らしさ見してみろよ」
「え、」
にやりと妖艶な笑みを落とし、ずい、と近づいてきた端整な顔に、どくん、と心臓が何時もより強い鼓動を奏で始める。
止まらずに、近づき続ける顔。
歳三の漆黒の瞳に、朱に染まった私の顔が映っていて。
いつの間にか、その大きな手で、頤を取られていた。
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