ただ儚く君を想う 壱

桜樹璃音

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第2章 桜の導き

第18話

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そう言えば、昼食べてないからか、と空腹の原因に気が付く。
そんなことを思う初めての私に、みんなはにこにこと笑って話しかけてくれた。

「璃桜、って呼んでもいいか? 俺のことは左之さんでいいぜ!」

「は、はい!」

「璃桜さん、俺のことも、好きなように呼んでくれ。幹部のみんなは新八と呼ぶ人が多い」

「新八さん、って呼びます」

「えー、俺も総司さんがいいー」

「駄目、そうちゃんは、そうちゃん」


皆で部屋を出て、歩き始めた。
と、1人その場で固まって動かなかった人がいる。


「ああああの」

「あれ?どしたの平助。早く行こうよ」


藤堂さん、だった。


「あの、璃桜、俺、」


きょとんと首を傾げていれば、ばちり、と目が合う。
瞬間。


「……………………惚れた!!!!!」


………はい?


「は?何言ってんの平助」


私が反応するよりも早く、隣にいる総司から剣呑なオーラが溢れだしていた。

それを感じているのかいないのか、藤堂さんは吹っ切れたように、走り寄ってきて、マシンガンの如く話しかけられた。


「璃桜、って呼んでもいいかな。俺のことは平助って呼んで」

「え、えと、いいですけど………、」

「絶対ダメ。璃桜が穢れる」

「敬語も無しで! 宜しく璃桜!!」

「え、うん……。よろしく、平、助?」

「璃桜、話さないで、穢れる」

「んで、逢ったばっかだけど、璃桜、好きだ!!」

「え、えと、」

「璃桜、顔赤い。なんで」


そんな可愛いらしい顔で、そんな純粋に、好き、なんて言われたら、誰でも赤くなるでしょう?!

総司からの殺気が半端なく平助に向かっている。
気配に疎い私でも、分かるほどの殺気を、総司はダダ漏れにさせていた。


「またまた~そうちゃんてば、やきもち妬いちゃって」


左之さんが、火に油を注ぎ。


「…………璃桜は、俺のだ」


呟いた総司の腰から、かちゃり、と鯉口をきる音がした。


「えええええ?! 総司ちょ、ちょっと待て!」

「覚悟!平助!!」


逃げる平助を総司が追うから、2人して中庭におり、追いかっけこ状態になっていた。


「あーあ、こりゃほっといて先行こう。長くなるぞ」

「え、でも、いいんですか?」

「ああ、こんなの日常茶飯事だ。総司と平助は仲良しだからな」



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