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第2章 桜の導き
第13話
しおりを挟む暗闇の中で、誰かが私を呼んでいる。
…………璃桜。
あなたは、誰?
どこに、いるの?
…………璃桜。
闇の彼方に、光が見える。
その光の真ん中に、漆黒の人影が見える。
此方に、手を差し伸べる貴方は、誰。
…………璃桜。
その手を取りたくて、正体が知りたくて、必死に自らの手を伸ばす。
伸ばせば伸ばすほど、遠ざかる貴方。
「…………璃桜」
待って、置いていかないで。
もう、1人にしないでよ。
「…………璃桜、」
嫌だよ、もう離れたくない。
お願いだから――――――――――――。
「私を、置いていかないでっ!!!!」
はっと、瞳を見開く。
初めに見えたのは、木でできた天井。
そして、私を覗き込むように心配げな表情で見下ろす宗次郎、………ううん、総司。
駄目だ、総司だって認めたくない。
叫んだ私の頬を、優しく撫でる貴方が、沖田総司だなんて。
どうやら、あのまま気を失っていたらしい。
……あまり嬉しくない夢を見ていた。
内容は、はっきりと思い出せないけれど、体中が嫌な汗でべたついている。
「大丈夫、此処にいれば、絶対ずっと一緒にいられるから」
にっこりほほ笑むあなたに、ゆるり、と無理矢理笑みを浮かべた。
………嘘だよ。
だってね、そうちゃん、貴方は、…………………長く生きられない。
こんなことを知っていながら、何もしてあげられない残酷な私を、貴方は許してくれる?
新撰組について知っていることを、すべて忘れてしまいたい。
どうして私は、新撰組を勉強してしまったのだろう。
未来を、知っていても、ここではなんの役にも立たないのに。
むしろ、…………邪魔にしかならないのに。
どうせなら、医療とか、技術系等のことを勉強していればよかった、と深く思う。
そうしたら、少しでも役に立てたかもしれないから。
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