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二人を結ぶ呪い
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そう知らされたのは先月だけど、こうして当日を迎えても、まるで夢のようで信じられない!
私がスッと立ち上がると、興味津々で控室まで付いてきていた友人たちが目を輝かせた。
「凄い!!シエルお姉ちゃん綺麗~~!」
「シエルすっごく似合ってる!本当に大魔法使いって感じだね!!」
「えっ、そ、そう?」
照れながらも嬉しさが込み上げてくる。
控室の姿見に映る自分の姿を見つめると、金の刺繍がほどこされた豪華なフード付きのエンジ色のローブが目に入った。
その下には、柔らかいアイボリーのワンピースがふんわりと覗き、控えめな中にも豪華さが漂っている。
「それでは行きましょうか」
城から派遣されたメイド達に導かれて、建物の出口を出ると、外にはたくさんの生徒たちがいて騒がしかった。
なんなのかと思って目を凝らすと、そこには真っ白なペガサスがいて、私は目を大きくした。
ペガサスの頭には繊細な金のチェーンにがかかり、中央に輝く宝石には国を象徴する紋章が刻まれている。
「ペ……ペガサス?」
そう呟いた瞬間、生徒たちの注目が一斉に私に集まり、
「来たぞ!」
「おお!凄い!カッコイイ!今から行くの!?」
「本当に大魔法使いみたい!!」
と、次々に質問が飛び交う。
その間、ペガサスの横に控えていた2人の魔法使いとメイドたちが、私が通る通路をさっと整えた。
開けた道から、ペガサスの後ろに白い丸みをおびた馬車が見えた。
よく見ると、宝石の装飾が施され、車体はふわりと宙に浮いている。
「どうぞお入りください」
馬車のドアが開けられた時、背後から声がした。
「面倒くせぇ移動の仕方すんだな」
振り返るとディオンが居た。
ディオンはジッと私を見下ろすと、「ふぅん……」とだけ言って来た。
うっ……
な、何?その反応。
似合ってないって思われているんじゃないかと不安が押し寄せて、つい口を開いてしまう。
「な、何よ……似合ってないって言いたいの!?」と口を膨らませながら言うと、「別に、悪くねぇと思っただけだ」とだけ返される。
ん?
なんだか褒められてるような、そうでないような……
微妙な返しに少し戸惑う。
「おい、ちんたらと馬車なんかで移動しないで、瞬間移動で行くぞ」
と言いながら、ディオンは手を差し出してきた。
私はチラリとペガサスを見てから言う。
「私、これで行きたい」
せっかくこんな素敵なもの用意してくれたんだし。
「は?」
「だってペガサスだよ?ペ・ガ・サ・ス!」
「だからなんだよ」
「そうだ!せっかくだしディオンも一緒に乗ってよ!」
「えっ!なんで俺が……」
「だって、一人だと淋しいでしょ!」
そう言って無理やりディオンを馬車の入り口へと押しやる。
ディオンが半身だけ馬車に入った時、魔法使いが申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ございません。この馬車は大魔法使い様専用となっております。ですので講師様はお控えください」
その瞬間ディオンは呆れたように目を細め、静かにため息をつくと、魔法使い達に二本の指を見せた。
その指には金色のバッヂが挟まれていた。
「俺も大魔法使いだけど?」
その言葉に、私を含む全員が驚きで目を見開いた。
私がスッと立ち上がると、興味津々で控室まで付いてきていた友人たちが目を輝かせた。
「凄い!!シエルお姉ちゃん綺麗~~!」
「シエルすっごく似合ってる!本当に大魔法使いって感じだね!!」
「えっ、そ、そう?」
照れながらも嬉しさが込み上げてくる。
控室の姿見に映る自分の姿を見つめると、金の刺繍がほどこされた豪華なフード付きのエンジ色のローブが目に入った。
その下には、柔らかいアイボリーのワンピースがふんわりと覗き、控えめな中にも豪華さが漂っている。
「それでは行きましょうか」
城から派遣されたメイド達に導かれて、建物の出口を出ると、外にはたくさんの生徒たちがいて騒がしかった。
なんなのかと思って目を凝らすと、そこには真っ白なペガサスがいて、私は目を大きくした。
ペガサスの頭には繊細な金のチェーンにがかかり、中央に輝く宝石には国を象徴する紋章が刻まれている。
「ペ……ペガサス?」
そう呟いた瞬間、生徒たちの注目が一斉に私に集まり、
「来たぞ!」
「おお!凄い!カッコイイ!今から行くの!?」
「本当に大魔法使いみたい!!」
と、次々に質問が飛び交う。
その間、ペガサスの横に控えていた2人の魔法使いとメイドたちが、私が通る通路をさっと整えた。
開けた道から、ペガサスの後ろに白い丸みをおびた馬車が見えた。
よく見ると、宝石の装飾が施され、車体はふわりと宙に浮いている。
「どうぞお入りください」
馬車のドアが開けられた時、背後から声がした。
「面倒くせぇ移動の仕方すんだな」
振り返るとディオンが居た。
ディオンはジッと私を見下ろすと、「ふぅん……」とだけ言って来た。
うっ……
な、何?その反応。
似合ってないって思われているんじゃないかと不安が押し寄せて、つい口を開いてしまう。
「な、何よ……似合ってないって言いたいの!?」と口を膨らませながら言うと、「別に、悪くねぇと思っただけだ」とだけ返される。
ん?
なんだか褒められてるような、そうでないような……
微妙な返しに少し戸惑う。
「おい、ちんたらと馬車なんかで移動しないで、瞬間移動で行くぞ」
と言いながら、ディオンは手を差し出してきた。
私はチラリとペガサスを見てから言う。
「私、これで行きたい」
せっかくこんな素敵なもの用意してくれたんだし。
「は?」
「だってペガサスだよ?ペ・ガ・サ・ス!」
「だからなんだよ」
「そうだ!せっかくだしディオンも一緒に乗ってよ!」
「えっ!なんで俺が……」
「だって、一人だと淋しいでしょ!」
そう言って無理やりディオンを馬車の入り口へと押しやる。
ディオンが半身だけ馬車に入った時、魔法使いが申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ございません。この馬車は大魔法使い様専用となっております。ですので講師様はお控えください」
その瞬間ディオンは呆れたように目を細め、静かにため息をつくと、魔法使い達に二本の指を見せた。
その指には金色のバッヂが挟まれていた。
「俺も大魔法使いだけど?」
その言葉に、私を含む全員が驚きで目を見開いた。
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