【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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最後のピース

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「この人に、聞きたい事があるの」
そう言うと、ディオンは酷く不機嫌な顔をした。

「そんなの、許すわけねぇだろ」
「大丈夫だよ。私には魔法があるし」
私はステッキを取り出して見せつける。

「それでも駄目だ。どうしても聞きたいなら俺が耳を塞いでやるから、ここで話せ」
「それだと、なんか気になるし……お願いっ」
そう言ってディオンに手を合わすと、ディオンは不満そうに舌打ちをした。

「……はぁー。お前って本っ当、頑固だよな」
ディオンに盛大なため息をつかれる。

「看守なら大丈夫か?一応耳が聞こえないようにはしてやるし」
看守か……
そう思って看守を見ると、ふと目が合う。


確かに、看守なら部外者だから、そんなに気にならないかも……

「うん。それなら……」
「分かった。じゃあ何かあったら、すぐに呼べよ。俺はすぐ下の階にいる」
ディオンはまだ不満そうに頭を掻きながら言った。

「ありがとう!」

看守たちに厳しい目を向けるディオン。
「おい。奴が変な動きしたら、すぐ大声で俺を呼べ。分かったな?」

看守たちは「はい!」ときっちり返事をする。
ディオンはそのまま彼らの耳に魔法をかけ、一度だけ振り返ってから階段を下りて行った。

ディオンの足音が聞こえなくなったのを確認し、私はあぐらをかいている、ディオンそっくりの男の前まで行く。

「なんだ。話って」
「ハッキリさせておきたいんだけど、前世で私を殺したのは、あなたで合っているわよね?」
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