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最後のピース

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…………

……

私はあの後、学園に戻った。
すると、懐かしい私の部屋には、本当に私のそっくりな人間がいた。

でも聞けば、それはあの偽物のディオンが出したものではなく、本物のディオンが作り出してくれたものだった。
私は、あの偽物のディオンにまんまと騙されていたようだ。


数日後――
私はディオンと共に、偽物のディオンが入っている塔へ向かうことになった。

理由は1つ。
あの男に、どうしても聞きたいことがあったからだ。


青く晴れ渡る空の中、ディオンと一緒に飛んでいると、深い山の上にポツンとそびえ立つ塔らしき建物が見えてきた。

「あそこだ」
ディオンの言葉に、小さな緊張が走る。

塔のふもとに降り立ち、てっぺんを見上げると、空にも続きそうなほどの高さがあった。


私は心を落ち着かせようと、ローブの中に手を入れる。
すると、すぐに違和感を感じた。

そしてまた思い出す――
ラブがもう、この世には居ないという事を。


いつもこの辺りに居たラブの存在は、思った以上に大きく、思い出すたびに胸が締めつけられるように恋しくなる。
それと同時に、あの地下に連れられる時、部屋に置いておけば良かった……とか、今更どうしようもない後悔が襲う。

悲しみと寂しさが込み上げ、眉を寄せた私に、ディオンは「行くぞ」と一言だけ言い、塔をおおうシールドに手をかざした。

すると、シールドに楕円形の穴が開き、ディオンが中に入る。
その瞬間、どこからか低いうめき声が聞こえ、私は思わず体をすくめた。

「な、何?この声」

怯えながら聞くと、ディオンは呆れたように「なんだ。怖ぇーのか?」と言ってくる。

「だって……凄い声だよ」
「塔だとこれが普通だ」
ディオンはそう言うと、手を差し出してきた。

一瞬ためらって、その手に自分の手を乗せると、ディオンはギュッと強く握りしめてきた。
こんな状況なのに、胸がドキッとする。

ドキドキした気持ちで握られた手を見つめながら、螺旋らせん階段を上っていく。

ディオンは階段を上るのをやめ、あるフロアに足を踏み入れる。
すると、鉄格子てつごうしの中に沢山の鎖につながれた、ディオンそっくりなあの男がそこにいた。
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