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時を超えた狂愛の檻

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「また記憶操作か?」

記憶操作はまれに脳にダメージを与えることがあるから、極力使いたくねぇ。


なんなら、最終手段に出るか……?
でもアレを使えば、自己治癒力が無くなってしまうせいで、魔力の無い人間と同じ寿命になってしまうはずだ。

平行世界に行ってから外しても、付けていた期間分、シエルの寿命が縮まっている可能性が高い。




「どっちも使いたくねぇ……」
考えがまとまらない。

イライラしながら時計を見て「もう寝てるはずだよな」と呟き、シエルの様子を確認しようと階段を上がる。

すると、リビングの扉の隙間かられる光があった。

ドアが開けっ放しになっていて、その向こうには、召喚獣を抱えて立っているシエルの姿。

「シエル、まだ起きてたんだ」

シエルは俺の声に気付いたはずなのに、俺に背を向けたまま返事をしない。

勝手に帰るなと言った事を怒っているんだろうか?


そう思いながら近づいてみると、シエルの手には、ここに来た時に着ていたパジャマがあった。

まさか、この島から出ようとしていた?
そんな疑いを持ちながらシエルの横を通り過ぎ、顔を覗き込む。

「どうした?」

すると、シエルは突然俺から逃げるように尻もちをつき、ドアの方へと後ずさった。

そんな動きに一瞬驚いてしまった俺は、すぐに察した。



「まさか……思い出した?」
その質問に、ひど瞳孔どうこうが揺れる。そして確信した。

まぁ、覚醒のせいで自己治癒能力はとんでもなく上がっているだろうから、俺が前世にかけた魔法が解けていくのは、ごく自然なことだ。
むしろ、今まで解けなかったのが不思議なくらいだ。


こうなったら、もうこの手しかない。

「やっぱ、がないと駄目そうだな……」
そう言って、俺はずっと用意していたを取り出した。


それは――魔法が使えなくなるピアスしろものだ。
研究中に偶然できた産物だったが、こうなった時の為にずっと取ってあった。

俺は、針のように尖っているピアスの先を、怯えるシエルの耳たぶに押し当てた。
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