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招かざる訪問者
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しおりを挟む「ひゃぁ!」
驚いて後ろにひっくり返りそうになると、「危ねぇだろ」と言って背中を支えてくれた。
私は、ため息をついて隣に腰を下ろしたディオンをじっと見る。
「なんだ?」
「ううん。お……おはよ」
ここに来る日、ディオンの顔には疲れの色が濃く出ていて、老けて見えた。
だから、道中で『なんか顔が凄く疲れてるけど、大丈夫?』と尋ねた。
すると、ディオンは少し間を置いて『……ただの寝不足だ』と答えた。
その時は本当かな?と思ったけど、今なら分かる。
あれは本当だったんだ……
「シエルの魔力は遠目でも分かりやすいから、出たいときは俺と一緒の時だけだって言っただろ」
そう言うと、私によく分からない魔法をかけた。
「大丈夫だよ。ここ、NIHONから凄く遠い場所なんでしょ?」
「万が一ってのがあるだろ」
不満そうな顔が見える。
また違和感。
なんだろう?前はもっと心に余裕があったはずなのに……
ディオンらしくないと思ってしまう。
何をそんなに怯えているんだろう。大魔法使い様であるディオン様はどこに行ったの?
「学園に私にそっくりな人を置いて来たんでしょ?」
だから捜索なんてされないって言ってたじゃん。
「……ああ……」
ここに来てからずっと変な感じ。
私は、前の堂々としていた頃のディオンの方が好きだなって、密かに思ってしまう。
あれ?
そう言えば、さっき何か大事な事を思い出したような……?
絶対、忘れてはいけないような事だった気がするのに……
なんでだろう?
全く思い出せそうにない。
私は首をひねってからぼんやりと空を見上げた。
「……?」
…………
……
「そろそろ帰ろうと思う。冬休みも今日で終わりだし」
ついに年も明けて明日から新学期だ。
なんだかんだで、このディオンの別荘にも半月以上居たと思う。
残念な事に、ディオンとは最後まであまり一緒に居れなかったけど……
でも、素敵な海もたっぷりと楽しめたし、ラブなんてかなり満喫出来たいみたいだし、ここに来れてよかったと思ってる。
生き生きとした目で小魚を手掴みで狩って食べるラブを思い出しては、可愛くてふふっと笑いがこみ上げてくる。
「もう少しくらい居てもいいんじゃねぇか?学園にはお前の代わりがいるんだから」
「そうだけど。Dクラスになって意識を失って出遅れた時、馴染むのに結構時間がかかったんだよね。だから新しいクラスには最初から慣れておきたいの。クラス替えしたときがチャンスだし!」
ディオンとは学園でも一緒に居れるし。
……あれ?研究があるなら暫く休むのかな?どうなんだろう?
「……俺の研究は、あと数日で完成する予定だ。だからそれまで待ってくれ」
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