【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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招かざる訪問者

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「そんなの分かんねぇよ。しようとした事ねぇんだから。
でも……何百年と研究者が研究を続けているのに、未だに実現できてねぇんだ。俺がちょっとやった位じゃ実現出来ねぇだろうな」

「そっか……そうだよね」
私は、胸の内を隠すように、無理に笑ってみせた。


私が、どこまで疑えば、この答えにたどり着けるんだろう――


…………

……

私は、学園に戻って来てから両親に毎日手紙を書いている。
どこまでの内容なら両親に届くのかが分からないから、色々な書き方で試しているところだ。

魔力が暴走した事や、戦地から帰ってきたこと。
そして、国から戦功章せんこうしょうとしてきんの表彰板をもらった事など……


筆をる私に、手紙の横でちょこんと座るラブのつぶらな瞳が向く。
「どうしたの?ラブ」
そう言って指で頭を撫でる。


ずっと心配だったラブは、元気だった。

戦中に預かってくれていたクリフおじさんの話では、ほんの数時間だけ体調が悪かったけれど、それ以外は元気だったそうだ。

きっと体調が悪かったのは、私が――
した時の影響だと思う。


戦地から帰ってきた私の髪は真っ白で、そのせいで沢山の人に驚かれた。
そしてすぐに、だと診断された。

また管理事務員が誤診ごしんをしていると思ったけど、その話をこの前ディオンにしたら、ディオンはこう言った。



『あの時のは、今までのとは違う。本物の魔力の覚醒だ。
元々学園でトップクラスの魔力を持っているのに、そこからの覚醒なんて通常はあり得ないが、長年魔道具で抑え込まれていた膨大な魔力が原因で、予想不可能で不可解な現象が起きてしまったんじゃねぇかと思う。魔法は、なんだかんだ言ってまだまだ未知だらけだしな』

管理事務員からすると、前代未聞の2回目を通り越して3回目の覚醒だからか、今回は前後の出来事を根掘り葉掘り聞かれた。
ヴァイスを倒すことに必死で、あまり覚えていないと言い張ったけど……


「よし、出来た」
大好きなパパとママへ、と書いた手紙に封をする。

すると、背中側からノック音が聞こた。

「シエルー。そろそろ戦勝パーティに行くよー」
その声はメイのものだった。

「うん」
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