【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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俺は、お前が……

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ヴァイスは、ふふっと楽し気に笑い、口を開いた。

「君、凄くいいね。そうだよ!君の言う通り、僕はカミヅキと同じ大魔法使いだ!」

「やっぱり……ルールを破っていたのね。あなたさえ来なければ……。
あなたのせいで、沢山の人たちが傷付いた!謝って!そして今すぐ治しなさいよ!!」
シエルがそう叫ぶと、ヴァイスはスッと目を細くした。


「……君は、自分の立場というのが分かってないね」
ヴァイスは魔法で2本の細いつるを操り、シエルの首に巻き付けていく。

そんな様子に再び俺の心が凍り付くと、ヴァイスは口角を上げて俺を流し目で見てくる。
その目に、俺の怒りと殺意をさらにあおり立てる。

ヴァイスに気を取られている隙に、シエルはもだえて、顔がだんだんと赤くなって行く。
「……うっ」


「君を生かすも殺すも、全部僕の手の内にあるんだよ?分かって言ってるの?」

その時、首元のつるが緩み、シエルは膝立ちをさせられたままき込んだ。

その様子に、はらわたが煮えくり返るような怒りがこみ上げてきた。
でも、そんな自分がひど滑稽こっけいに思えた。
なぜなら、自分も、過去に同じような事をシエルにしたからだ。


「僕は君を殺そうと思えばいつだって殺せる。だから僕への態度には十分に気を付けてね」
きこみ涙ぐむシエルは、その言葉には何も返さなかった。ただ、悔しそうな顔をしていた。

「返事は?」
ヴァイスの言葉に、シエルはただただ涙目のままヴァイスをにらみ付けた。

ヴァイスはそんなシエルを見るなり大きなため息をつき、困ったような顔をしてあごに指を添える。

「うーん……、このまま僕にくっするようになるまで続けたい所だけど……」
そして、ここから見える戦場を見下ろした。

「あまり時間もないし、それはまた今度にしようかな。どうせ君を連れ帰った後、いくらでも時間はあるんだし」
ヴァイスはそう言うと、気持ちを切り替えるようにパッと笑みを浮かべた。

「じゃあ、仕切り直して楽しいショーを始めようか」
ヴァイスがバッと手を横に広げると、そのタイミングでつるが一斉に動き出した。

「やっ……何っ!?」

つるは、シエルの服のすそやスカートの下、えりぐりから探るように中に入って行く。

「あっ……やだ……」
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