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私、死にたくない……
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しおりを挟むその言葉を聞いた他の男子たちも、こぞって私を覗きこむ。
「え?ほんとだ」
「でも意識はなさそうですね」
「だな。まぁ大丈夫だろ」
と言うと、主犯格の男は、私の肌着を手にしてビリビリに引き裂いていった。
いや……。
止めて……。
ブチブチとシャツのボタンがはじけ飛ぶ音が聞こえる。
なのに、抵抗することも、叫ぶ事も出来ない。
男子たちが私の姿を見てほくそ笑んでいるこの光景に、恐怖に押しつぶされそうになる。
その時、
「……め……て……」
なんと、自分の口から震えるような声が出た。
そのことに驚いたのは私だけじゃない。
「……へ?今喋りませんでしたか……?」
「喋った……よな?」
「嘘だろ!?なんだよ起きてるじゃん!魔法解けてんじゃん!二重にかけたんじゃなかったのかよ!」
「はぁ!?嘘だろ!?俺の魔法が……まだ全然時間が経ってないのに!そんな事があるわけ……」
「かけ方が甘かったんじゃないのか?」
「煩せぇ!!」
「どうして解けたのかなんて、そんな話はもういい!それよりヤバイんじゃないか?」
動揺した様子の主犯格は、突然ハッとしたような顔をしたと思うと、歪んだ笑みを浮かべた。
「な……何。怖がる事なんてないだろ?」
そして私の太ももをガシっと掴んで、足の付け根に向かって手を滑らせた。
「…………人に話すことなんて出来ない程に、めちゃくちゃにしてやればいいだけだ」
「や……」
その時――
突然、私の周りに底なしのような暗闇が広がった。
何事かと思って驚き目を張ると、突然周りの男子たち全員が叫び声を上げた。
「うわぁぁぁぁーー!!」
次々ともがき苦しみ、その場でうずくまって行く男たちに、何が起こっているのかと恐怖に襲われる。
鉛の様に重い体を少しでも起こせないかと仰向きから横向きになった時、何も無い場所にスッとディオンが現れた。
その事に驚いて名前を呼ぼうとした瞬間、目に入って来たディオンの表情に、息が止まった。
「ディ……」
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