【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか？

私、死にたくない……

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「どうせこいつも俺らも明日には死ぬかもしれないんだ。なら、やりたいだけやりゃいいじゃねぇか。俺は別にこいつの事が好きとかじゃないけど……」
そんな言葉の後に、前髪を上げられるような感覚が頭皮とうひに伝わった。

「こいつがこの学園で断トツで可愛いからな」
耳元でそんな低い声が聞こえたと思うと、耳元から首筋、そしてシャツの際まで指が滑った感覚が伝わった。

「それにしても綺麗な肌してるよな。理想を言えば、もう少し胸が大きいといいんだけど」
「僕はこれくらいが好きだけどね」
「お前の好みなんて聞いてねぇよ」


そんな会話に、さっきとはまた違った恐怖心を抱くと、ブチブチっというボタンが飛ぶような音が聞こえた。

直後、胸元に風が通るような涼しさを感じた。


「なんだ、このネックレス。……珍しいな」
その言葉を聞いて、ネックレスが見えるところまで脱がされてしまったんだと知ってゾっとした。

「ほんとだね。それになんか高そう」
「ねぇ、もう僕も触っていい？」
「ああ」
「やった！」
直後、私のふくらはぎを掴まれるような感覚が走る。

「あ、でも……言っとくけど、処女を貰うのは俺だからな」
その言葉を聞いて、先ほどから漠然ばくぜんとしていた不安な予感が、確信に変わった。
胸の奥で小さくざわめいていた不安がいきなり現実のものとなり、全身に冷たい衝撃しょうげきが走った。


「え、なんでだよ」
「俺が計画したお蔭でお前らも出来んだろ？その事を忘れんじゃねぇよ」
「そ、そうだけど……」
「煩うるせぇ。じゃあ今ここで魔法を解いてやろうか？」
「や、止めてよ。わ、分かったよ……」


その時、やっと自分の手がピクリと動いたのが分かった。
そして瞼まぶたを上げようとすると、微かすかに持ち上がり、明かりが私の瞳に差した。

細く横長の視界に、なんとなく見覚えのある人物が映る。
この人は確か……振った時に手が震えてた人。

状況を把握しようと少し視線を下げると、私の足を割るように座り、横を向いて話をしている男が見えた。この人には全く見覚えがない。
話の感じからして、この人が主犯格的存在なんだろう。

そしてまた少し視線を動かすと、私の部屋によく似た風景が映った。


主犯格の横にいた男は私を覗きこむように見つめて来る。
「あれ？なんか目、開いてない？」