【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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私、死にたくない……

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…………

……


「だ、大丈夫だよな」
「ああ。ちゃんと魔法もかかってるみたいだし、数時間は目を覚まさないはずだ」
……ん?

複数人の男性の声が……聞こえる。


「サオトメも今度はちゃんといたな?」
「ああ。大丈夫だ」
「サオトメ、ウゼーからな」
「あいつのせいで、前回は失敗に終わったからな。マジでタチバナ専用のガードマンかっての」
という台詞セリフの後に笑いが起きる。

タチバナ専用の、ガードマン……?
気になる話をしているけど、今はそれどころじゃない。

なぜかというと、私は今、まるでまぶたが接着剤でくっついているかのようにピッチリとひっついていて、開ける事が出来なからだ。
さらには指先さえも動かせないし、声も出せない。

一体、どうなってるの?

「一応、念のため、起きても自発的に動けない魔法もかけておいた。だからもし起きたとしても目も開けれないと思う」
「マジかよ!天才だな」

今の話、私の事……だよね?
なんでそんな魔法を……と思った時、ほほを触れられるような感覚が走った。


「ああ……本当に可愛いな。タチバナさん……」
すぐ近くでそんな声が聞こえると、今度は唇を触れてくる感覚がして、気持ち悪さに鳥肌が立つ感じがした。


「でも、本当にいいのかな……こんな事して」
「さっきからうるせぇな。俺が計画してる時、お前もって言っただろうが。よ」
「言わないでよ」

振られた腹いせ……って事は、私に告白してきた人達の仕業?

というか、やるって……何?る?
まさか私、戦場の戦いではなく、振ったせいで殺されてしまうの!?


血の気が引くような恐ろしい想像が頭をよぎる。
すぐに手に魔力を集めようとこころみるけど、なぜか全く魔力が集まらない。それは何度やっても同じだった。

いつもならすぐに集まって来る感じのする魔力が、今は全く感じられず、不安が心の中に広がっていく。

どうして魔力が集まらないのか理解できないまま、恐怖が次第に増していった。
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