【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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私、死にたくない……

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「嘘だろ……?冗談に決まってるよな?」と、誰かがつぶやいた。
学園長の言葉を疑う者、その場で泣き出す者、ショックで倒れてしまう者までいる。

抗議こうぎをする者たちは、どんどん前方にいる学園長の足元に集まって行く。
その光景はまるで地獄絵図じごくえずのようだったが、私はそれでも現実を受け止められないでいた。

すぐに学園長の周りに居た生徒たちが、こちら側に吹っ飛んで来た。

何が起きたのかと目を見張ると、学園長は大きな声で言い放つ。
「静かにしろ!いくら騒ごうと意義など認めん!!参戦は魔法学園の上級クラス生の義務である!」

参戦は……義務……?

何、それ。
NIHONは戦争をする国だというのは知っていたけど、生徒が参戦なんて……そんなの知らない!


……無理。
絶対無理っ!

こんな現実、受け入れられない――


「くれぐれもここから逃げるなど、安易あんいな考えは捨て去るように。日取りは決まり次第報告をする。
なお、この話は下級クラス生徒には一切れる事がないように。
故意こいに漏らしたと分かった場合は、その時点で有無を言わさず塔に送り込む」

その時、どこからか「死ぬかもしんねぇくらいなら、塔に行った方がマシなんじゃねぇか?」「確かに……」という話し声が聞こえた。


学園長はその言葉を聞き逃さなかった。

「君たちの中には、過去に塔に入った者が何人かいるな。
塔入りを経験したことのある者ならこう思うだろう。『戦場に行く位なら塔に入った方がマシだ』と。
しかし、その考えは間違っている。

なぜなら、君たちが学園の決まりを破るのは『軽罪』であり、入れられるのは軽罪者のみしか入らない、懲罰ちょうばつも無い塔の下部だからだ。
戦争に参戦しない、または戦争に関する決まりを破るのは『重罪』だ。

重罪を犯した者は塔の下部ではなく、上部に入れられる。塔の上部は、死んだ方がマシだと思うほどにひど拷問ごうもんを永遠と繰り返される場所だ」

そう言うと皆の顔が青ざめて行く。

「君たちには塔入りが嫌で参戦するのではなく、魔法使いとしてのほこりを持って参戦して欲しいと思っている。
そして、今まで訓練をしてきた成果を発揮し、魔法使いとしての使命を全うしてくれ!以上、解散!」
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