【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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私、死にたくない……

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……せ、戦争……?

NIHONが?

新手のドッキリかと、信じられない気持ちで学園長を見上げていると、私の横に立っていたエルバードが、「やはりそうか……」とつぶやいた。

それは、まるで前々から知っていたような口ぶりに思えた。


戦争という言葉を聞いてから、私の心臓はずっと嫌な音を立てている。
なのに学園長は、私が落ち着くのなんて待ってくれない。

「今年の4月、訓練場に大きな穴が開いた事はみなも知っている事だろう。あれは…………本当は、リヴァーヴァル帝国の宣戦布告だった」


リヴァーヴァル帝国……!?
って、何度か地理で習ったけど、世界で1番大きな国だったはず。

リヴァーヴァル帝国は、300年程前までは小さな国だった。
なのに、急激に勢力を伸ばし、今では世界で最も大きな国に発展したことで有名だ。


ちなみに、こちらの世界の国の名前は、前世で知っているものとは全く違っている。
地形だって全然違うから、NIHONは、なんと島国でも無い。

NIHONという名前、NIHONの中にある文化や地名はあるていど前世と同じ物があるだけで、この世界は本当に前世とは別世界なんだと思う。


「宣戦布告を機に、かんばしくなかったNIHONとリヴァーヴァル帝国との関係は更に悪化してしまい、今や戦争を避けることはできない状況にいたってしまった。
皆が知るようにリヴァーヴァル帝国は、世界でもっとも巨大な国だ。通常なら事は難しいだろう。授業で習った事を覚えているな。
我が国は、ちょうど20年くらい前に一度リヴァーヴァル帝国との闘いに敗北をしている」

習った。
凄い力の差があって、かなりの魔法使いが犠牲になったって……。

「だが……勝利を上げれると思っている!前のような無残な敗北にはならんと、そう信じている!」

ん?さっきから、なんの……話をしているの……?

なんだか、この話の流れだと、まるで……


私たちが参戦するみたいに聞こえ……

「なぜなら――今の上級クラスには魔力の覚醒をした人物が2名!そして100年に1度の優秀な人物までいるのだから!」

その言葉に、突然とつぜん私に向く沢山の生徒の目。

その目は、まるで助けを求めているかのように見えて……耐えられなくて目が泳いでしまった。


「国の法に基づき、今ここに命じる」

学園長は、バッと手を広げて私たちにとどめをさした。


「当学園の上級クラス生は、一人残らずこの戦争に参戦せよ!」
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