【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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手紙の謎

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…………

……

今日も屋上でディオンと一緒にランチをしている私はとラブは、両手で頬杖ほおづえをついてニヤニヤとした顔を向ける。

「大・魔・法・使・い・様っ」
「んだよ、キモい声出すな。熊野郎まで鬱陶うっとうしい!」

「凄いよね。まさかディオンが大魔法使い様なんて」
「あのって、どの大魔法使いだよ」

世界にたった2人しか居ないんだよ?
世界の魔法使いの頂点だよ?
そのうちの1人がディオンだなんて……。凄すぎるっ!!
まぁ、大魔法使い様に近い存在だとは思っていたけど、近いは近い止まりだし?

「あー、まだ信じられない」
「じゃあ信じるな」
「えっ」
ひどい人!
でも大魔法使い様なら多少許せる気がするような、しないような……。


「ってか、いい加減『様』は止めろ。お前に言われると鳥肌が立つ」
と言われて口がとがってしまう。

「なんでよ」
「あと、前にも言ったけど、俺が大魔法使いと言う事は絶対誰にも言うんじゃねぇぞ。他の奴が聞く可能性がある場所で大魔法使いって言葉を使うのも止めろ」
ブスっとした顔で忠告してくるディオンに、疑問がいた。

「どうして大魔法使いって事を隠してるの?」


「お前もそんなくだらねぇ質問すんだな」
そう言われて直観的に、私には教えたくない事なんだと思った。教頭先生は知ってそうだったのに。

私の問いかけに答えず、そっぽ向くディオンに、さらに肩が下がる。


ディオンとは結構仲が良いと思っていたのに……実は違ったのかな?

でも、仲が良い悪いは関係ないのかも?
私だって聞かれたくない事は山のようにあるし……

でも……だとしても、秘密にされるって淋しいな。
距離が近ければ近いほどに、そう思っちゃう。


ああ、メイも……
こんな気持ちだったんだろうか。


想像すると、ひどく胸が痛んだ。


もう……いいや。
ディオンの事は知りたいけど、ディオンが言いたくないのならもうこの話題には触れない。

そう思って話題を変えた。


「そういえば、今日の特別授業は結局実技?」
実技ばかりという状況が気になるから学園長に聞くって、先週言ってたけど……

「……分からねぇ」
「え?分からない?」
もうすぐ授業が始まるのに?あと30分もないよ?

「でもまぁ、このままだと実技になるだろうな」
「……あれ?もしかして学園長に聞くって言ってたけど……」

「まだ聞けてない。学園長が捕まんねぇんだよ」

捕まらないの意味が分からなくて、キョトンとしてしまう。
「え?」


「先週、お前と昼飯ひるめし食った後、園長室に行ってみたんだけど国の奴らが来てて話せなかった。
で、今日話そうと思ってたんだけど、朝からずっと面会謝絶めんかいしゃぜつのままだ」
面会謝絶?そんな事あるの?

「何してんのかと思って、窓の外から中の様子をのぞいてみたけど、話なんて出来るような様子じゃなかった」


「そう……なんだ……」


へぇー意外。学園長って忙しいんだ、と思っていると、学園長からの全生徒集合の緊急呼び出しが園内に流れた。
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