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手紙の謎

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「んだよ。うるせぇな。いま防音魔法使ってねぇんだから、いきなり叫ぶなよ」
「ご、ごめん……」

「ってか、なんか知りたい事でもあんのか?ずっと同じような本ばっか読んでるみてぇだし」
と聞かれて胸がギクッと音を立てる。いつから知られていたんだろう。

「べ、別に興味あるから読んでるだけだよ」
「ふぅん?そ。まぁ分かんねぇ事があるなら聞けよ。ここにある本より、俺の方が詳しい事も多いと思うし」


確かに、ディオンなら私が知りたい事を知ってる可能性が高いかもしれない。
なんたって、知識も魔力も経験値もトップクラスじゃないとなれない、なんだし。

でも教えてもらうとなると、前世の事を打ち明ける必要があるんだろう。
そうなると、ディオンに復讐心に燃える私を知られてしまう。
好きだと自覚した今、そんな私をディオンに知られたくない。


「でも、その時は高くつくからな」
「え?」
そう言って私のあごをグイっと指で持ち上げるから、言葉の意味を理解するより先に頬に熱を持ってしまう。

「ディ、ディオンっ!!!!」
「馬鹿っ、だから叫ぶなって……」
と、鬱陶うっとうしそうに言われた瞬間、突然とつぜんディオンのロングコートの中に囲われるようにして抱きしめられた。


「えっ!?ちょっと……んぐっ!」
そして突然、手で口を塞がれて、何をされているのかと驚いてしまう。


でも見上げた顔は予想外に真剣で、視線は私ではなく、なぜか入口の方向にあった。
そんな光景を見た瞬間、嫌な予感がよぎる。

すると、ディオンは静かに言った。
「絶対にしゃべるなよ」と。

その言葉にゴクリとつばを飲んで静かにうなづくと、ギーっとドアの開く音が聞こえて、体が石のように固まった。


「誰かいるのですか」
その声に、息まで止まった。

その時、ラブを友人に預けて来て良かったと心底思った。
当たり前だけど、静かにしてなんて言葉が通じないからだ。


足音がだんだんこちらに近づいてくる。

振動がバクバクと嫌な音を立てる。

つぶれてしまいそうな心臓に、ディオンのシャツを掴んでいた手に力が入ってしまう。
すると、ふわりとディオンの香りがしてきて、こんな状況なのにドキっとしてしまう。


っていうか私、ディオンの薄手のロングコートで囲われているだけだから、絶対に足とか丸見えな気がするんだけど……

その事に不安に思った時、すぐ近くで足音が止まった。
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