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手紙の謎
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しおりを挟むFクラス友人がキョトンとした顔でメイに聞いてくる。
「学園長とかの様子が変だったから」
「あっ私も思った。メイも思ってたんだ。管理事務局の人たちはそうでも無かったけど、学園長と教頭先生は明らかにおかしかったよね。冷静沈着な学園長が慌ててるように見えたし」
「そうなんだよねー。ただの隕石ならそんな事にならなくない?」
「だよね。修復は大変かもしれないけど」
メイも学園長達の様子がおかしいと感じていたんだ。
「怖いよぉ……隕石じゃないならなんなの!?またあんなのが落ちて来るの!?」
と、いつの間にか半泣きになっていたFクラスの時の友人を見てギョっとする。
「だ、大丈夫よ!あんなのもう落ちてくるわけないよ!」
と安心させるように少し小さく感じる手を握る。
「でも……」
「ほら、あの学園長もいるんだし、今回の事があるから次はすっごく警戒すると思うから大丈夫だよ。だから怖がらないで」
と微笑んで、友人の赤くなった頬に手を添えた。
友人を安心させるために言ったその言葉は、ずっと胸騒ぎがしている私への言い聞かせのように感じた。
…………
……
翌日、「検証の結果、あれは隕石でした。なので安心して学業に励むように」という内容の放送が流れた。
それから嘘みたいに、みんな平常の生活を取り戻している。
そんな中、私の心の中は不安でいっぱいだった。
それは……私が学園の事をあまり信用してないからだと思う。
あぶり出しで出て来たメッセージの事もあるし……
せめて手紙の事を相談出来たらと思うけど、誰かに言うと不安にさせるだけだろうから言えそうにない。
余計な心配を増やしちゃうだろうから。
こんな時、ディオンが居れば……
「あー、カミヅキ講師に会いたい~」
ぽーっと天井を見上げ、ぽつりと呟いたメイの言葉に目をパチクリとさせる。
出た!最近のメイはずっとこんな調子だ。
「明後日来るでしょ」
放課後、私の部屋に遊びに来たメイが、勉強机の椅子に座りながら口を膨らませる。
「前はほぼ毎日会えていたのに、明後日とかまで待てないー!」
メイの言葉に苦笑いが出てしまう。
「ははっ……ん?違う。確か1か月間の休みに入ったって聞いたんだった。だから次会えるのは1か月後かも」
「えっ!?何その情報!聞いてないんだけど!」
「私も終わりの会で聞いたんだよ。なんか、予算を訓練場の修繕に当てる関係上、ディオンが1か月休みなったんだとか」
「意味わかんない―!!」
悔しそうにキー!と怒りを表現するメイ。
ディオンに会える日カウントダウンをしていたメイからすると、これは辛いだろうと思っていると、メイは思いにふけるような目をして深いため息をついた。
「私…………、やっぱカミヅキ講師が好きかも」
そんなメイの言葉に一瞬目をパチクリさせてしまう。
「⋯⋯え?」
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