【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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手紙の謎

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訓練場と、その奥のグランドが大きくえぐられている様子が映った。
まるで隕石でも落ちたかのように丸くへこんでいるそのくぼみは、直径100mくらいありそうに見える。

落ちた時に突風でも吹いたのか、えぐれた部分の周辺の木々はなぎ倒され、グランドに落ちている木々も映る。
かろうじて斜めになっている木も、倒れるまで時間の問題だろう。
ああ、エルバードが手入れしてる花壇もめちゃくちゃになってる……。


「これは、何……?」
いつの間にか横に立っていたメイが、また私に答えられない質問を投げかけてくる。

そんなの分かるわけないと思った瞬間、何故なぜか両親の手紙であぶり出しをして、出て来た単語が脳裏に浮かび上がって来た。


さすがに、両親が送って来ていたメッセージとは関係ないと思うのに……

「あれは、なんだ!?」
と叫ぶ生徒が指差す方向に目を向けると、宙にほぼ透明な丸い何かが薄っすらと見えた。

その丸いものは穴のようにも見えて、ぐっと目を凝らして見つめると、だんだん小さくなっていき、最終的に見えなくなってしまった。
そして「シールド復元完了しました」と機械音のような声が聞こえて来た。

「……シールド?」



「遅い!」
今度はその怒鳴り声に目をやると、訓練場の近くに立つ学園長とクリフオジサン達が目に入って来た。

次々に管理事務局の人達や講師も飛んで来て、クレーターになった場所を指さしながら、なにやら深刻な顔で話をしている。

その場に生徒が何人か向かったが、途中で立ちふさがった管理事務員に何かを言われたようで、すぐにこちらに引き返して来た。


結局その後は、午後の授業は無くなり、全生徒帰宅が命じられた。
緊急事態なのでは、と思ってしまう状況なのに、なんの理由も聞かされない私たちは、その指示に不安に思うしかなかった。
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