【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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4カ月遅れの誕生日

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ふぅん。こんな態度をしてもやっぱり怒らないんだ。

ディオンは私の態度が最近おかしいって言ったけど、それはディオンの方なんじゃないの?


…………

……

甘い匂いに釣られて綿菓子を食べたり、呼び込みに釣られてやったことも見た事もないゲームで遊んだり、香しい醤油の香りに惹かれてイカ焼きを食べたり、と思ったらディオンに盆踊りのようなステージに投げ入れられて見様見真似に踊ったら笑いものにされたり……


楽し過ぎる時間は驚くほど早く過ぎて行った。



ずっと、ディオンとこんな感じで居れたら、幸せなのかもしれない……
そう感じた頃、ふと呪いの事を思い出した。


呪いの事を初めて聞いた時、ディオンは『え、それはお前が……』と言った。
だから私に関する呪いなのは間違いないと思う。

展望台で泣いてしまった日の翌日、ディオンは明らかに私を避けていた。
思い返すと、あの日からディオンの態度にムラがあるように思う。
無視されたと思ったら、優しくなったり、でもやっぱり冷たかったり……

という事は、あの頃辺りに呪いにかかった可能性が高い?
でも、初めっからという可能性もあるよね。

ああ!
一体誰がディオンに呪いなんてかけたのよ!

呪いで苦しんでいるのなら、私が力になれるのならなりたいのに。
ディオンは話したがらないから何も出来ない。


「んだよ」
複雑な気持ちでディオンを見ると、一瞬目が合って、つい逸らしてしまった。


「なに目ぇらしてんだよ。お前ごときが」
「何よ。お前って、酷い。ほんと口悪いよね」
でも、なんでらしたんだろう。自分でも分からない。
なんか今ドキッとしたような……

「文句あんのかよ」
「無いわけないじゃん。でも、それも呪いのせいなの?優しかったと思うと、すぐに冷たいディオンに戻るし」
と言うと、私のほほをつねろうとしていたようにしか見えなかったディオンの手がピタリと止まった。

「……聞いちゃ駄目?ディオンに、どんな呪いがかけられているのか」
「お前に関係ねぇし。ほっとけ」
「私に関係無い感じに見えないんだけど。だから、危険だと知りながら、あんな所まで助けに来てくれたんでしょ?」

私の言葉を聞くと、困ったように眉を寄せて目を逸らし、ため息をつく。


「そんなに言い難い事なの?」
覗き込むと、ディオンは目を合わせないままポツリと呟く。

「言いにくい……のか?」
私は自問自答するディオンを静かに見守った。

「分かんねぇ……。でも、おかしいんだよ」
そう言うと、ディオンは前髪を掴んだ。

「おかしい?」
「ああ。お前と出会ってから……。こんなの、俺らしくねぇのに……」
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