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4カ月遅れの誕生日
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……
無事に明かりの元に降り立つことが出来た私がホッとしたのもつかの間、鼓膜にドンと大きな音が飛び込んできた。
驚いて顔を上げると、グランドのような広場で大太鼓を叩く和服の人たちが映った。
その太鼓の周りには、その音に合わせて踊る人達が円になっている。
誰もが楽しそうな様子に、自然とワクワクとした気持ちが膨らんでいく。
さらに辺りには所々に赤い提灯が飾られ、屋台や夜店がずらりと並んでいた。
香ばしい匂いや甘ったるい香りが風に乗って、私たちのもとにまで届いてくる。
頭にお面を付けてる人も歩いていたり、浴衣を着た人もいて、レトロで趣のある雰囲気に、私はどんどん吸い込まれていった。
「あー。建国祭か」
「これがお祭りなんだ」
前世でも行ったことがなくて、お祭りは初体験だ。
りんご飴を食べながら前を通り過ぎていく綺麗な浴衣を着る人達を興味津々な目で見ていると、残念そうな顔を向けられて頭の上にハテナマークを浮かべる。
そしてそっと自分の姿を確認した時、思いっきりその場で膝を抱えてしゃがみ込んだ。
「ひゃっ」
そんな私に、怪訝そうな顔をしたディオンが見下ろし質問する。
「何やってんだ?」
「ディオン……わ、私、パジャマのままなんだけど!」
「は?今更?」
確かに、ディオンからするとそうだろう。
スカイツリーの時だって、パジャマだったんだから。
「恥ずかしいから着替えに戻りたい。でも、その後もう1回出てこれないよね?」
「は?なんでそんな面倒な事をしないといけないんだよ」
そう言われて、ガックリと肩を落とす。
「そんな事しなくても、こうしたらいいだけだろ?」
と言った時のディオンは、何故か黒を基調とした大人っぽい浴衣姿になっていて、目をパチクリさせた。
「なんで、ディオンが浴衣に……?」
それにしても、その完璧な容姿にその姿はズルくないだろうか。
似合いすぎて目のやり場がない。
助けに来てくれてから意識しないように気をつけている私に、なんて酷い追い討ちをするんだろう。
「お前に合わせたんだろ。てか立て」
手を引っ張られ、無理やり立たされた私は自分の姿を確認すると……
「え?私に?」
いつの間にか青の華が映える浴衣を着ていて、大きく口を開けた。
「かっ……可愛っ!!何これ!これ、まさかディオンがやってくれたの!?髪型まで可愛くなってるし!わぁ!下駄だぁ!凄い、凄い!初めて履いた!」
生まれて初めて着た浴衣に興奮して、袖を持ってくるくると回る。
魔法で着替えなんて出来るんだ。
あれ?じゃあ、前に私が展望台で泣いて寝てしまって、起きたらパジャマだったあの日も、こんな感じで?
ああ、根掘り葉掘り問い詰めなくてよかった……
「子供かよ」
と言われたけど、気分が良すぎた私は、思いっきり開き直ってみせた。
「子供だもん」
すると、ディオンは片眉を上げた。
「ディオンが言ったんでしょ?100歳位までは子供だって!」
腰に手を当ててドヤと覗き込むと、少し不機嫌になったディオンが私の手を引っ張った。
「チッ。ほら、さっさと行くぞ」
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