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不安定な魔力
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「あー、あのウザいの、お前の親だったのか?ってかなんで4人もいんだよ」
「あんた!私の両親に何をしたのよ!!」
食って掛かりたいのに身長差が酷くて叶わず、急遽作戦変更をして弁慶の泣き所を蹴ろうとしてみたけど、今度は華麗に避けられてしまう。
「お前のやる事なんて、だいたい分かってんだよ」
そう言いながら、美男子は私と目線を合わすようにしゃがみこんだ。
鋭い目が私をとらえる。
「あいつらは別に死んだわけじゃない。お前が勝手に作り出した幻想だったからここから消しただけだ。なんかごちゃごちゃと煩せぇし」
「……幻想?」
私が作り出した?
美男子は私の頬をペチッと叩いて来る。でも、頬には驚くほどに傷みが無い。
「愛された事がない?だっけ?」
「え?」
「勝手に決めつけんな。お前……それを毎日泣きそうな顔でお見舞いに来るメイや、クラスメイトの前で言えるのかよ」
その瞬間、ふわっと脳裏に浮き上がる謎の女性の顔に心を乱れる。
「えっ……」
「そのデけぇ目は何を見るためについてんだ?」
据わった目なのに、怖くない。それどころか温かみを感じてしまう。
私、やっぱりこの目をよく知ってる。
なのにどうして思い出せないんだろう。
「俺と違ってお前の事を必要としてる奴は五万といるだろうが。
その証拠に、みんな待ってんだよ。お前が戻ってくる日を」
そう言うと目の前の美男子は、すっと立ち上がった。
「みんな……って?」
自分の倍くらいはありそうなこの美男子を見上げる。
「ここで言っても多分無駄だ。でも戻れば分かる」
その言葉にハテナを浮かべてしまう。
「さっき言った事、ほ……本当……?」
「ん?お前を必要としてる奴の話か?」
その言葉にコクンと頷く。
「ああ、本当だ。ウゼぇくらいにお前を待ってる。だからさっさと戻るぞ」
美男子はニッと笑うと、ん、と言って手を出してくる。
私は、その大きな手を一瞬躊躇ってから握った。
すると次の瞬間、指の先から記憶の細胞が蘇るような感覚が走り抜けた。
「……ディ……オン……?」
「あんた!私の両親に何をしたのよ!!」
食って掛かりたいのに身長差が酷くて叶わず、急遽作戦変更をして弁慶の泣き所を蹴ろうとしてみたけど、今度は華麗に避けられてしまう。
「お前のやる事なんて、だいたい分かってんだよ」
そう言いながら、美男子は私と目線を合わすようにしゃがみこんだ。
鋭い目が私をとらえる。
「あいつらは別に死んだわけじゃない。お前が勝手に作り出した幻想だったからここから消しただけだ。なんかごちゃごちゃと煩せぇし」
「……幻想?」
私が作り出した?
美男子は私の頬をペチッと叩いて来る。でも、頬には驚くほどに傷みが無い。
「愛された事がない?だっけ?」
「え?」
「勝手に決めつけんな。お前……それを毎日泣きそうな顔でお見舞いに来るメイや、クラスメイトの前で言えるのかよ」
その瞬間、ふわっと脳裏に浮き上がる謎の女性の顔に心を乱れる。
「えっ……」
「そのデけぇ目は何を見るためについてんだ?」
据わった目なのに、怖くない。それどころか温かみを感じてしまう。
私、やっぱりこの目をよく知ってる。
なのにどうして思い出せないんだろう。
「俺と違ってお前の事を必要としてる奴は五万といるだろうが。
その証拠に、みんな待ってんだよ。お前が戻ってくる日を」
そう言うと目の前の美男子は、すっと立ち上がった。
「みんな……って?」
自分の倍くらいはありそうなこの美男子を見上げる。
「ここで言っても多分無駄だ。でも戻れば分かる」
その言葉にハテナを浮かべてしまう。
「さっき言った事、ほ……本当……?」
「ん?お前を必要としてる奴の話か?」
その言葉にコクンと頷く。
「ああ、本当だ。ウゼぇくらいにお前を待ってる。だからさっさと戻るぞ」
美男子はニッと笑うと、ん、と言って手を出してくる。
私は、その大きな手を一瞬躊躇ってから握った。
すると次の瞬間、指の先から記憶の細胞が蘇るような感覚が走り抜けた。
「……ディ……オン……?」
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