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不安定な魔力
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しおりを挟む「聞いたわよ。結婚するんだってね?でも、親の私たちを呼ばないなんてどういうつもり!?」
その声に震え出す自分の体。
なんで、知ってるの?
っていうか、どうして平気で連絡して来れるの?連絡しないっていう約束はどこに行ったの?
「誰のおかげでそこまで育ったと思ってるんだよ!この恩知らずが!!本当、お前は感謝というのを知らないね!」
恩知らず……?感謝……?
あんたたちに、どこに感謝する所があるっていうの?
一緒に住んでいた時は、なんとなく変だと思っていても、感覚が麻痺していて気付けなかった。
でも、離れてからだんだんと分かって来た。
何かと理由を付けて私をサンドバック代わりしたり、まともにご飯も食べさせてもらえ無かったり、勉強より家事を優先させられたり、服だっていつもボロボロだったり……
後は、働くようになってからは、家に全額の給料を入れさせられたり。
そんなのは全部おかしい事だったんだって、やっと分かって来た。
今まで生きて来て楽しいと思った事なんて一度も無かった。
死にたいと思う事なんてしょっちゅう。
でも、死ぬ勇気も出なくて……
そんな中、奇跡的に割の良い給料が出る会社の採用が決まった。
でもその事は両親には告げず、残業を沢山して、今まで以上に家にお金を入れるから、私が家を出て連絡を一切取らないという事を認めて欲しいとお願いした。
両親はお金に目がくらんで二つ返事をした。
なのに……これは一体どういう事?
やっと縁が切れたと思ったのに。
当たり前みたいに電話してくるなんておかしいって、頭では分かっているのに、この声を聞くと何も言い返せなくなる自分が情けなく感じる。
「で、式には何人くらい参加するんだい?」
電話を耳に当てながら、半放心状態の私に飛んできた謎の質問に、不思議に思いながら人数を伝えると……
「ふぅん……へぇ……。まぁまぁね」
と嬉しそうな声を出した。
「とにかく、今すぐ招待状を送りな!もし送ってこなかったら式場で大暴れしてやるからな!」
脅し?そんな事をして、あんた達も恥ずかしくないの?
……本当にやりそうて怖い。
この人達は目的の為ならそういう事を……平気でする。
でも、その目的とは、一体なんなんだろう?
結婚式の参列も、私にも一切興味無いにはずなのに……
憂鬱だ……。
結局、あの電話のあと、全然仕事が進まなかった。
そして今日もサービス残業。
さすがブラック企業。
でも、不況の時代に何も出来なかった中卒の私を拾ってくれたんだ。
だからブラックだとか文句は言ってられない。給料だけは悪くないしね。
でも、せめて高校を出ていたら、もう少し選択肢があったのかもしれないと思うと、やっぱり両親を恨まずにはいられない。
時計を見ると、終電に間に合う時間をさしていた。
「今日は帰れる……」
その事にほっとしてから、また頭の中で両親との会話を思い返す。
やっぱりいくら考えてもおかしい。
私の事なんてお金が出るサンドバック家政婦くらいにしか思ってないくせに、なんであそこまでして式の参列に執着しているんだろう?
それに……参加人数なんて知ってどうするんだろう?
そういえば両親って私に一切お金をかけてこなかったけど、ご祝儀とか持って来るつもりなのか、な……………………
あっ!
まさか……
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