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ついに進級試験
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しおりを挟む…………えっ!?
その瞬間、世界が一瞬止まったような気がした。
驚きと混乱が胸の中で渦巻く中、唇は役目を果たしたかのようにそっと離れて行く。
ディオンはローレンの方を向き直って見下すように顎を上げた。
「宣戦布告なんか必要ねぇ」
そして真っ白になってしまったローレンを見てから続けた。
「こいつ、もう俺のだから。勝手に手ぇ出すんじゃねぇぞ、クソ餓鬼が」
…………
……
私は今、最後に見たローレンと同じような顔をしているんだろう。
「おーい」
ポカーンと抜け殻になっている私の視界に、バカな顔をして手を振るディオンが映る。
「なにキスくらいで放心してんだよ。初めてじゃあるまいし」
この光景はまるで、電車から見る景色と同じで、ただ目に映っているだけ。
「……仕方ねぇ……荒治療でもするか」
そんな声が遠くから聞こえたと思うと、突然動き始めた自分の胸に違和感が走って視線を落とす。
すると、ディオンの手に揉まれる自分の胸が目に飛び込んで来て、さっきまでの自分が嘘みたいに細胞ごと意識が目覚めた。
「……痛っ!!」
パチンという乾いた音が響くと、自分の手のひらにジンジンとした熱さが感じた。
「痛てぇな」
頬を押さえるディオンが目に飛び込んで来た後、視野が一気に広がって、私は目を丸くした。
「……あれ?私の部屋!?なんで?そして今私、叩いた?」
さっきまでパーティ会場のテラスにいたはずなのに。
あっ!そうだ!私、さっきローレンの前でキスされて……
またキスをされてしまった事もそうだけど、人前で……しかもローレンの前でされた事がショックで、意識がどっかに旅立っていたようだ。
「マジで暴力女だな。出会った頃の俺だったら確実に今ので殺してたぞ」
そう言いながら氷枕を出すディオン。
「あんたが、変な所触ってくるからでしょ!」
胸元を守るように手をクロスにしながら思った。
確かに、最初の頃ならあんな平手打ちなんてしたら絶対に本当に殺されていたんだろうって。
「どうせ減るもんじゃねぇだろうが」
「そういう問題じゃなくて、デリカシ―の問題でしょ!?」
「んだよ。じゃあ、さっきの野郎だったら良かったのかよ!」
突然出て来た『さっきの野郎』という言葉に、数秒固まる。
「……へ?ローレンの事?」
「他に誰がいんだよ」
「……そんなの、誰でも駄目に決まってるでしょ。だってこういうのはお互い好き同士でする事なんだから……」
「はー、お子ちゃまだな」
「お子ちゃま!?何よ!っていうか、なんでローレンにあんな誤解するような事言ったの!?こいつは俺のだ、って何!?しかも目の前で、キッ、キスなんてして!」
「別にいいじゃねえか。誤解されたって」
「全然よくないわよ!」
今思うと、あんな状態のローレンを一人テラスに置いてきてしまって、大丈夫なんだろうか?友人としてかなり気になる。
「なんだよ。誤解されて困る事でもあんのかよ。もしかしてお前、あんなヘタレが好きなのか?」
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